慢性前立腺炎の痛みにはどんな特徴があるの?

2018/8/2 記事改定日: 2019/4/16
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

会陰部や睾丸の痛み、排尿痛などさまざまな不快症状をもたらす慢性前立腺炎。この慢性前立腺炎の痛みを解消するためにはどうすればいいのでしょうか?治療法を中心に解説していきます。

慢性前立腺炎の痛みの特徴は?

慢性前立腺炎の痛みは、ズキズキとした強い痛みではなく、睾丸や会陰部の鈍痛として感知するのが特徴です。中には痛みではなく、ひきつれ感やしびれを感じることもあり全ての人が痛みを感じるわけではありません。
また、太ももや足の付け根、下腹部など鈍痛が放散することも珍しくなく、排尿障害を呈さない場合には整形外科的な病気・ケガや消化器系の病気と誤認されることもあります。

慢性前立腺炎になると、痛みのほかにどんな症状が出てくるの?

慢性前立腺炎は、基本的には急性前立腺炎が慢性化したものですが、感染の原因がはっきりとはわからないものもあります。

痛み以外の症状としては、会陰部や下腹部、睾丸、尿道や陰茎の不快感、排尿・射精時の違和感、頻尿、残尿感などがあり、痛みによるストレスが続くことで全身的な障害が起こることもあります。また、頻尿や会陰部・鼠径部の一日中続く違和感によるストレスから睡眠障害を引き起こすこともあります。

慢性前立腺炎の痛みはどうすれば和らぐ?

感染の原因が特定できない慢性前立腺炎では、症状を緩和するための薬物療法や心理的な負担の軽減、生活習慣の改善指導が治療の中心となります。

薬物療法では、症状に応じて複数の薬を組み合わせることもあり、温熱療法や運動療法などの理学療法が併行して行われることもあります。
最近は、UPOINT(U:排尿機能、P:心理社会学的要素、O:膀胱・前立腺の異常、I:感染の有無、N:神経症的要素、T:骨盤底筋群の緊張性)を考慮して行う、テーラーメード治療(一人一人の体質や環境、病態に合った薬を投与する治療法)と呼ばれる治療法が出てきました。

慢性前立腺炎は命に関わる病気ではありませんが、長引くと心身の不調からQOL(生活の質)を大きく下げてしまうことにもなりかねません。できるだけ早くに治療を受けることが望まれます。

薬物療法、理学療法、生活指導は以下のように行われます。

薬物療法

患者の状態にあわせて、以下の薬が処方されます。

アセトアミノフェン、非ステロイド系消炎鎮痛剤
慢性前立腺で主に使用される薬剤です。
プレガバリン
神経障害疼痛に使用されます。
抗うつ剤(SSRIなど)
心因性および身体性の痛みの緩和に使用されます。
漢方薬
末梢血液循環の改善作用があるとされています。
そのほかの薬
植物製剤、漢方薬、抗生物質、精神安定剤、αブロッカーなどが処方されることがあります。

理学療法

温熱療法や骨盤のストレッチや骨盤底筋体操などが有効とされています。

生活指導

身体の冷えや過度の飲酒、喫煙などの、血行を悪くする原因となる生活習慣は避けるようにしましょう。また、長時間の坐位を必要とするお仕事の人(運転やデスクワーク)は、適度に身体を動かすようにしましょう。短時間の睡眠や休憩も痛みの緩和に有効な場合があります。

前立腺炎の痛み解消にロキソニン®を飲んでも大丈夫?

ロキソニン®には鎮痛作用の他に、プロスタグランジンという腎臓の血流を低下させる物質を阻害する作用があります。腎臓の血流が低下すると尿の産生量が減るため、頻尿が一時的に解消される場合があります。

ただし、頻尿の治療薬としてロキソニン®が効果があるという医学的根拠は薄いといわれており、腎臓に持病がある場合などはロキソニン®の服用で腎臓に負担がかかり病態を悪化させてしまう恐れがあります。

頻尿改善を目的に、自己判断でロキソニン®を飲むことはおすすめしません。必ず医療機関で診てもらい、適切な薬を処方してもらいましょう。

おわりに:会陰部が痛むなら、泌尿器科を受診しよう

慢性前立腺炎の痛みに対しては、薬物療法や理学療法、生活習慣の改善など多面的なアプローチが必要になります。患者さんによって原因や状態はさまざまなので、泌尿器科を受診して、自分の状態にあった治療を受けるようにしましょう。

※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。

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