記事監修医師
日本赤十字社医療センター、歯科・口腔外科
川俣 綾 先生
2018/7/23
記事監修医師
日本赤十字社医療センター、歯科・口腔外科
川俣 綾 先生
口の中に検査器具が入ると、オエッと吐き出してしまう「嘔吐反射」。この嘔吐反射がひどくて歯医者での施術が困難になってしまっている場合、どんな対策をするのがいいのでしょうか?
歯ブラシを奥に入れすぎたり、胃カメラ検査でカメラが口の中にはいってくると「おえっ」と強い吐き気が起こったことはありませんか。この吐き気は嘔吐反射(おうとはんしゃ)と呼ばれ、口の中に物を入れられたときに、あるいは自分で入れたときに起こります。
嘔吐反射は人間が異物から身体を守るための大切な反射ですが、歯医者で検診や治療を受けたいときには厄介な反応となります。少しでも反応を穏やかにするためには、つぎのような対処方法があります。
嘔吐反射は人間の生理反射で、程度の差はありますが誰でも起こるものであり、口の中に入ってきた異物を本能的に吐き出す反応です。歯ブラシや歯磨き粉のほか、不快なにおいや味でも嘔吐反射のスイッチが入ることがあります。
嘔吐反射の起こる程度には個人差があり、舌の奥の方まで触っても平気な人もいれば、歯ブラシを少し入れただけでも気持ち悪くなるという人もいます。妊娠中など体調変化があるときにも、嘔吐反射が起こりやすくなるようです。
嘔吐反射は一度起こると何度も繰り返すこともあり、ときには食事をしたものを吐いてしまうということもあります。また、恐怖心や不安感によっても、反応が大きくなることがあります。これは、過去に嘔吐反射を起こした場面と同じ場面で、無意識に恐怖心を感じてしまいやすくなるためです。
また先述の通り、口呼吸が習慣となっているときも、嘔吐反射を引き起こしやすくなります。
嘔吐反射は、人間が体内に入った異物を排除したり、恐怖や不安を与えたりするもの対して抵抗するための防御反応のひとつです。しかし、歯科治療においては、スムーズな治療を妨げることもあります。嘔吐反射が少しでも軽減するように自分でできる工夫をしたり、事前に歯科医師や歯科衛生士と治療方法の相談をしたりしておくと良いでしょう。