記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/7/24 記事改定日: 2020/6/29
記事改定回数:2回
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MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
体調管理や病気予防、ダイエットなどで「栄養バランスのとれた食事が大事」とよくいわれていますよね。食事を考えるときに理解しておきたい三大栄養素や、ビタミンやミネラルなどについて、栄養素の働きや栄養素を豊富に含む食品を紹介します。
食品にはさまざまな栄養素が含まれています。特に、タンパク質、脂質、糖質は「三大栄養素」と呼ばれる重要な栄養素です。
血液や筋肉など体を作る主成分であると同時に、エネルギー源になります。
三大栄養素のうち、最も高いエネルギーを持ちます。「脂質=太る」というマイナスイメージを持たれがちですが、脂質には体内で生成できない「必須脂肪酸」が含まれており、細胞膜やホルモンを作り出すためには欠かせない栄養素です。また、脂溶性ビタミンの吸収を助ける作用もあります。
脂質をたくさん含んでいる食品は、液体の「油」と固体の「脂」とに分けられます。具体的には以下のような食品です。
人体にとっての主要なエネルギー源です。脂質やタンパク質と比べて、素早く体内を巡る特徴があり、短時間の運動時のエネルギー補給に適しているといわれています。なお、「炭水化物」はこの糖質と食物繊維が合わさったものを意味します。
ビタミンは、他の栄養素の作用をサポートする役割があり、健康維持に欠かせない栄養素です。ビタミンにはいくつか種類があるので、それぞれを含む食品について以降で紹介していきます。
ビタミンAは油脂に溶ける脂溶性ビタミンの一種です。体の発育の促進や肌の健康維持、視覚の暗順応機能、鼻や喉の粘膜の保護などさまざまな役割を担っています。
ビタミンB1は水に溶ける水溶性ビタミンの一種です。皮膚や粘膜の維持や、糖質からのエネルギー生成、脳神経系の機能のサポートなどの役割を担っています。
ビタミンB2は水に溶ける水溶性ビタミンの一種です。皮膚や粘膜の維持や、脂質、糖質、タンパク質を体内でエネルギーに変換するなどの代謝に関わる役割を担っています。
ビタミンB6は水に溶ける水溶性ビタミンの一種です。皮膚や粘膜の維持や、タンパク質からのエネルギー、筋肉や血液の生成サポートなどの役割を担っています。
ビタミンB12は水に溶ける水溶性ビタミンの一種です。葉酸と連携して赤血球中のヘモグロビンを生成したり、脳からの指令を伝達する神経を正常に維持する役割を担っています。
ビタミンCは水に溶ける水溶性ビタミンの一種です。コラーゲンの生成やストレスへの抵抗力の向上、鉄の吸収サポート、抗酸化作用(有害な活性酸素から体を守る作用。心疾患や動脈硬化予防が期待できる)などの効果があるといわれています。
ビタミンDは油脂に溶ける脂溶性ビタミンの一種です。腎臓や小腸でリンとカルシウムの吸収を促進する作用や、血中のカルシウム濃度を維持して丈夫な骨を作る作用があるといわれています。
ビタミンEは油脂に溶ける脂溶性ビタミンの一種です。抗酸化作用によって、動脈硬化や生活習慣、老化などを予防する効果があるといわれています。
ビタミンKは油脂に溶ける脂溶性ビタミンの一種です。出血時に血液を固める因子を活性化したり、骨内のタンパク質を活性化し骨の形成を促したりする効果があるといわれています。
βカロテンは植物の色素成分の一種です。抗酸化作用や、免疫増強効果があると考えられています。
ナイアシンは水に溶ける水溶性ビタミンの一種で、ビタミンB群の仲間です。脂質や糖質、タンパク質からエネルギーを生成する際には酵素が使用されますが、ナイアシンは酵素をサポートする役割があり、粘膜や皮膚の健康維持を支える効果があるとされています。
葉酸は水に溶ける水溶性ビタミンの一種で、ビタミンB群の仲間です。赤血球細胞の形成を助けたり、特に妊婦が摂取することで胎児の正常な発育を促す効果があるとされています。
パントテン酸は水に溶ける水溶性ビタミンの一種です。脂質、糖質、タンパク質の代謝や、エネルギー生成に欠かせない酵素をサポートする役割、皮膚や粘膜の健康維持を支える効果があるとされています。
ミネラルは、体の機能の維持や調整に欠かせない栄養素です。ビタミンとは異なり、それ自体で体の構成成分ともなります。ミネラルは下記の種類に分けられます。
カリウムは、主に細胞内液に存在する栄養成分です。細胞の外液に存在するナトリウムと相互にバランスをとりながら、血圧の調整や細胞の維持などをし、体の健康状態を保っています。
カルシウムは、骨や歯を作り出すのに必要な栄養素です。骨や歯の形成のほか、出血を止めたり、筋肉や神経の運動をサポートする役割もあるとされます。
マグネシウムもカルシウム同様、骨や歯を作り出すのに必要な栄養素です。神経の興奮を抑制したり、血圧を維持したり、エネルギーを生成する役割もあるとされます。
リンは、カルシウムやマグネシウムと同じく、骨や歯を作り出すのに必要な栄養素です。多くは骨に含まれますが、一部のリンは筋肉や脳、神経組織に含まれ、エネルギー生成をサポートする役割を担います。
鉄は、赤血球を作り出すのに必要な栄養素です。鉄の多くは赤血球のもととなるヘモグロビンの成分となり、ヘモグロビンは酸素と結びつくことで、酸素を全身に運ぶ役割を担います。
亜鉛は、味覚の維持や皮膚・粘膜の健康維持をサポートする栄養素です。新陳代謝に必要な酵素の成分となるほか、タンパク質の合成やDNAの転写にも関わっていると考えられています。
銅は、鉄から赤血球を作り出すのをサポートする栄養素です。赤血球中のヘモグロビンは鉄を成分としていますが、銅は鉄を必要な場所に運ぶことでヘモグロビンの生成をサポートする役割があります。また、銅は酵素にもなって、活性酸素の除去や骨の形成をサポートする効果もあるといわれています。
マンガンは、酵素の構成成分となり、また酵素を活性化させる栄養素です。骨の形成をサポートしたり、多くの種類の酵素の成分となることで、人体の成長や生殖を支える役割があります。
食物繊維は、便の量を増やすことで便秘を防いだり、糖尿病や肥満などの生活習慣病の予防に役立ちます。また、免疫を調整するなど様々な効果が最近報告されています。
成人の身体は6割が水分でできており、小児期にはその割合はより高いとされています。水は生命を維持する上で非常に重要な成分であり、最近は上記の6大栄養素に「水」をプラスするという考え方もあります。
血液や体液の状態を維持し、老廃物の排出を促したり、体温を調節したりなど様々な働きを担います。このため、水分が不足すると血液がドロドロになって血栓ができやすくなって心筋梗塞や脳梗塞の発症を促したり、腎臓など重要な臓器の機能を低下させることになります。
このため、水分は6大栄養素と同様にしっかり摂ることが大切です。水分の不足を防ぐには、のどの渇きを自覚しない場合でも適度な水分を摂り、汗を多くかいたときは電解質が含まれた水分を補給するようにしましょう。
また、乾燥しやすい時期は加湿器などで湿度を適度に保つことも大切です。
栄養バランスが整った食事をするには、上記で述べたような6大栄養素を意識したメニューを選ぶことが大切です。しかし、実際には栄養バランスに厳密に注意したメニューを毎食ごとに考えるには現実的に困難という方も多いでしょう。また、長続きしなくなる原因にもなります。
そのため、栄養バランスが整って食事と続けるには、あまりにも厳密に栄養量を計算する必要はなく、毎食ごとに肉、魚、豆類、乳製品、野菜、果物などできるだけ多くの食材を摂り入れた主食、主菜、副菜を用意することがポイントとなります。また、丼物や麺類は栄養バランスが取りにくいため、できるだけ回数を減らすようにしましょう、
三大栄養素や、ビタミンやミネラルなどは、体の健康を維持するためにさまざまな働きをしています。外食続きなど栄養バランスの偏りが気になる場合、ご紹介した食品一覧を参考に、不足している栄養素を取り入れる食生活をおすすめします。