過労で倒れる前兆にはどんなものがある?

2018/7/24

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

「過労で倒れてしまって」という話を聞くことがありますが、過労になると、どういった原因で倒れるようになるのでしょうか?また、倒れる前兆としてどんな症状が見られるのでしょうか?

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過労で倒れる原因について

長時間労働による過労は、健康を損なったり、最悪の場合は命に関わることもある危険な状態です。過労で倒れる原因については、さまざまなものがありますが、特に多いのが心疾患や脳血管障害によるものです。

過労から心疾患や脳血管障害を起こすメカニズムとしては、睡眠不足や高血圧が関係しています。まず、長時間労働で睡眠不足の状態が続いたり、ストレスで睡眠の質が低下したりすると、体内では疲労が蓄積していきます。すると交感神経が常に活性化した状態になるため、血管に負担がかかって高血圧になったり、血管が収縮して血流が悪くなります。そうなると脳や心臓の血管が脆くなり、出血を起こしやすくなったり、血流が詰まりやすくなるのです。
具体的には、以下のような病気が原因で倒れてしまうことがあります。

心疾患

心筋梗塞
動脈硬化が進行し、冠動脈にできていたプラークが破裂して冠動脈が完全に塞がり、心筋に血液が行き届かなくなることで、心筋が壊死してしまう状態。
狭心症
心臓の冠動脈が何らかの原因で狭くなり、心筋に送り込まれる血液が不足することで心筋が酸素不足に陥る状態。

脳血管障害

脳出血
脳血管が破れて脳内で出血が起こり、その血液の塊が脳細胞を圧迫し破壊してしまう状態。
くも膜下出血
脳を包むくも膜の内側の血管に動脈瘤ができ、そこに圧力が加わって破裂することで起こる出血。
脳梗塞
脳の血管が細くなったり、血管に血栓が詰まったりして、脳に酸素や栄養が行き渡らなくなることで脳細胞が障害を受ける病気。

過労で倒れる前兆とは?

心疾患や脳血管障害で倒れる前兆としては、以下の症状が挙げられます。長時間労働が続いている人は特に注意してください。

心筋梗塞や狭心症の前兆

  • 胸の中央部から裏側にかけて、重苦しい感じや圧迫感、締め付け感、痛みを感じる(鋭い痛みではない)
  • 安静にしていれば、痛みがすぐにおさまる(狭心症の場合)
  • 痛みが30分以上持続する(心筋梗塞の場合)
  • 左腕がだるくなる

脳血管障害(脳卒中)の前兆

  • 片側の手足や顔半分で麻痺、しびれが起こる
  • ろれつが回らない、言葉が出てこない
  • 会話の内容が理解できない
  • めまいがしてまっすぐ歩けない
  • 片方の目が見えない(視野の半分が欠ける)、ものが二重に見える
  • 経験したことのない激しい頭痛がする

おわりに:働き盛りの男性は、過労による心疾患や脳血管障害に要注意!

特に40〜50代の男性は、過労による脳出血やくも膜下出血、心筋梗塞などの突然死のリスクが高いとされています。長期的に超過勤務が続いている人で、胸のあたりの違和感や手足の麻痺などが見られた場合は、早急に循環器内科や神経内科を受診してください。

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