記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/7/26 記事改定日: 2019/8/29
記事改定回数:1回
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MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
本人が心で自認する性別と、実際に生まれ持った身体の性別にギャップが起こる「性同一性障害」は、何が原因で起こるのでしょうか。今回は性同一性障害の原因として疑われている妊娠中の現象を、性同一性障害の人に現れやすい特徴とあわせて、解説していきます。
性同一性障害の原因は、まだ医学的にははっきりと解明されていません。ただ、近年の研究により、妊娠中に胎児が浴びる性ホルモンの量や種類によって、身体の性別と心の性別にギャップが生じる可能性あることが指摘されています。
人体の性別は、受精卵の染色体がXYの組み合わせなら男性、XXなら女性になります。受精から約8週経過すると、染色体の情報に従って精巣または卵巣のどちらかが発達し、これにあわせて男性器・女性器のもととなる器官も発達してきます。
このように身体の性別が決定づけられた直後、そして出産直前の2度にわたり、胎児はテストステロンまたはエストロゲンのどちらか一方の性ホルモンを集中的に浴びます。これをホルモンシャワーといい、集中的に浴びるホルモンの種類がテストステロンなら男性の心を、エストロゲンなら女性の心を獲得すると推測されています。言い換えると、身体的性別が男性でもエストロゲンを浴びると女性の心を、身体的性別が女性なのにテストステロンを浴び続けると男性の心を持つようになります。
現時点ではこうした妊娠中の現象が性同一性障害の原因とするのが有力視されています。
ホルモンシャワーの作用が原因という説とともに、妊娠中の女性のストレスが原因でホルモンシャワーの誤作用や量の不足が起こるという説もささやかれています。ただ、ホルモンシャワーの誤作用の原因がストレス、というのはあくまで仮説であり、正確な原因は今も解明されていません。医学的根拠がない説なので、親が責任を感じる必要はありません。
性同一性障害の人に見られる特徴的な症状として、以下の3つが挙げられます。
もし、自分の子供が性同一性障害であるとわかったら、まずは子供の心の性別や葛藤を受け入れてあげてください。そのうえで、誰よりも子供の味方であることを伝えて話を聞いてあげたり、心の性別に近づけるためのサポートをしてあげることが大切です。
性同一性障害のお子さんは本人が辛い思いをしていることも多いです。もし性同一性障害とわかったら、親としてその事実を受け入れるとともに、お子さんを支えてあげましょう。