性感染症の症状って、どんな症状が出てくるの?

2018/7/25

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

主に性行為によって感染する可能性のある「性感染症」。もしも性感染症に感染すると、どんな症状が出るようになるのでしょうか。種類別に解説します。

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性病(性感染症)って?

性病(性感染症)とは「性的接触によって感染する病気」と定義され、性行為によって人から人へと感染した感染症のことをいいます。

性病は健康な人であっても感染する可能性がありますが、感染しても無症状である場合が多く、症状が軽くて気づかない、あるいは症状が出現していても恥ずかしくて医療機関を受診できない人が多い傾向にあります。
また、濃厚な接触によって性器の分泌液や他の体液の移入が起こり、その結果として微生物が広がりやすい、つまり感染が起こりやすいことも性病の特徴です。

性感染症の症状の特徴は?

性感染症の症状にはさまざまなものがありますが、最初の症状は微生物が体内に侵入した部位に現れることが多く、その部位に潰瘍やびらんを形成します。また、急な発熱が続き、市販の解熱剤を飲んでも効果が無いというのもよくある特徴の一つです。

ただ、特に最近の性感染症では症状が現れにくい傾向にあり、性感染症に感染している本人でさえも感染したことに気が付かないという場合も多くあります。

主な性感染症ってどんなもの?

主な性感染症にはどのようなものがあるのでしょうか。以降でご紹介していきます。

梅毒

梅毒トレポネーマを病原菌とし、性的接触を介する皮膚や粘膜の病変との直接接触によって感染します。感染したばかりのときには性器や口など感染した部位に赤く硬いしこりやただれができ、近くのリンパ節が腫れます。その後3~12週間の間に、発熱や全身倦怠などの全身症状、それに伴い発疹が皮膚に現れ、さらに10~30年の間に心臓や血管、脳が冒されていきます。

淋病

淋菌を病原菌とし、性的接触を介する粘膜との直接接触にて感染します。症状は男女で異なり、男性では排尿痛と濃尿、女性ではおりものや不正出血が見られますが、症状が軽く気づかないことも多いです。

クラミジア

クラミジアトラコマティスを病原菌とし、性的接触を介する粘膜との直接接触によって感染します。男性の場合には排尿痛や尿道掻痒感が症状として出現しますが、女性では症状が軽く無症状のことも多いです。

ヘルペス

ヘルペスウイルスを病原菌とし、性的接触を介する皮膚・粘膜の病変との直接接触で感染します。性器の掻痒、不快感ののち、水疱、びらんといった症状が見られます。

尖圭コンジローマ

6型、11型のヒトパピローマウイルスが病原体で、性的接触を介する皮膚や粘膜の病変との直接接触によって感染します。性器・肛門周囲などに鶏冠様の腫瘤が出現します。

腟トリコモナス

主に腟トリコモナス原虫が、尿道や性器からの分泌物と接触したことによって感染しますが、タオルや下着の共有で感染することもあります。女性は自覚症状に乏しいものの、おりものの増加や外陰・腟の刺激感やかゆみが見られ、男性では自覚症状が無い場合が多くなります。

ケジラミ

性的接触を介する陰股部や陰毛との直接接触、衣類や寝具などを介して感染します。ケジラミが寄生した部位に掻痒感が出てきます。

カンジダ症※(厳密には性感染症ではない)

性的接触によって、カンジダ属の真菌に感染したことで起こります。しかし、女性の場合は疲労の蓄積や免疫力の低下がきっかけで発症することもあります。女性では外陰部の掻痒とおりものの増加が見られますが、男性では症状が出現しない場合が多くなります。

B型・C型肝炎

B型・C型肝炎はどちらも血液や体液の直接的な接触で感染します。全身倦怠感、食欲不振、黄疸などが見られますが症状は軽く、無症状なこともあります。

HIV感染症・エイズ(AIDS)

血液や体液の直接接触で感染します。HIVに感染すると、感染成立から2~3週間後に発熱、頭痛などの風邪のような症状が数日から10週間程度続き、その後数年~10年間ほど無症候期に入ります。そのまま放置すると、免疫不全が進行しエイズを発症します。エイズを発症すると悪性リンパ腫などを発症し、治療を受けないままでいると重症化して死に至ることもあります。

これって性感染症の症状かも・・・と思ったら何科に行けばいい?

もしも性感染症の症状が見られており思い当たる節がある場合には、最寄りの婦人科や性病科、泌尿器科などのクリニックを受診して専門医に診察をしてもらうようにしましょう。ただし、医療機関によっては行っていない検査もあるため、受診の前に電話で確認することをおすすめします。

おわりに:思い当たる症状があればすぐに医療機関へ

性感染症の症状は種類によって異なります。しかし、無症状の性感染症も多くあり、知らず知らずのうちに感染しているということもあります。もしも該当する症状があればすぐに専門医を受診し、早期に治療を行いましょう。

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