漢方でホットフラッシュを改善できるって本当?

2018/7/27

前田 裕斗 先生

記事監修医師

前田 裕斗 先生

更年期にさしかかった女性は発症することのある「ホットフラッシュ」。このホットフラッシュを改善するには、漢方の投与も有効なのでしょうか?効果的とされる漢方の種類についてもご紹介していきます。

冷凍宅配食の「ナッシュ」
冷凍宅配食の「ナッシュ」

ホットフラッシュってどんな症状?

ホットフラッシュとは、更年期の女性におこる顔のほてりや発汗、突然ののぼせなどの症状です。瞬間的に体が熱くなり、上半身と顔面紅潮、全身の発汗などがあらわれます。

症状の程度やあらわれ方に個人差はありますが、社会生活に支障をきたすほど重篤なものまであります。また、いつも同じ時間におこったり、不安や緊張を感じたときにおこったりするなど、ホットフラッシュがおこるタイミングはさまざまです。

ホットフラッシュの原因となる更年期障害は、40代後半から50代の女性に多く見られ、閉経に伴う女性ホルモンの減少によって引き起こされます。この時期は、閉経に対するショックをはじめ、社会的、心理的ストレスなども加わり、身体的や精神的障害を引き起こすこともあります。
また、女性ホルモンの減少は自律神経を乱し、この自律神経の乱れも更年期障害の主な原因とされています。

漢方がホットフラッシュにも効果があるって本当?

この女性ホルモンの減少による不調対策には、HRTと呼ばれるホルモン補充療法が行われるのが一般的です。ほへりやのぼせ、発汗などの更年期障害全般に効果がある他、コレステロール値の低下、骨粗鬆症、肝機能障害、心筋梗塞、脳卒中、アルツハイマーなどの予防効果も期待できます。

また、漢方でホットフラッシュを改善することも可能です。例えば乳がんを患ったことのある人は、HRT療法をおこなうことにより癌が悪化する可能性があるため、ホルモンを投与できませんが、漢方を使ってなら治療ができます。

さらに、漢方を使った治療はHRT療法に比べて副作用が少ないことが特徴です。漢方専門医がひとりひとりの症状に合わせて、さまざまな症状に効果のある生薬を組み合わせた漢方薬を処方します。

ホットフラッシュ改善のために使う漢方ってどんなもの?

ホットフラッシュの改善に処方される漢方には、以下のものがあげられます。

加味逍遙散(かみしょうようさん)

ホットフラッシュ以外にも、血行不良による肩こり、生理不順、冷え性、疲労回復、ホットフラッシュに伴うイライラをやわらげることもできます。

桃核承気湯(とうかくじょうきとう)

のぼせ、便秘、頭痛、生理不順、生理時のイライラ感や、血行を良くして便通の改善にも効果が望めます。

女神散(にょしんさん)

ほてりやのぼせ以外にも、精神症状を緩和する働きがあります。

桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)

肩こり、頭痛、めまい、のぼせ、冷え性や血液の流れを改善し、強い肩こり、頭痛、のぼせなどに高い効果をあらわします。

当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)

冷え性、疲労回復、生理不順や、貧血気味の方の血液を増やして、めまい、たちくらみ、貧血症状を改善します。

通導散(つうどうさん)

生理不順、生理痛、便秘、 不安やイライラ感をやわらげます。また、ホルモンバランスを整えたり、お腹の張りがある便秘症や精神症状を緩和したりします。

患者ひとりひとり、生活習慣や食生活によって効果がある漢方薬は異なります。自分の体質や症状に合うものを専門医に選んでもらったうえで服用しましょう。

おわりに:漢方薬の処方については専門医に相談を

ホットフラッシュの症状の程度に個人差があるように、漢方での症状改善も個人差があります。自分に合った漢方療法をおこなうため、生活習慣や食生活を見直すことはもちろん、自分の体質を見極めるためにきちんと専門医に相談しましょう。

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