記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/7/26
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
「ホットフラッシュ」は、更年期の女性によく起こる症状として知られていますが、男性でもホットフラッシュが起こることはあるのでしょうか?対処法と併せて解説していきます。
ホットフラッシュと聞くと女性特有の症状と思いがちですが、男性も更年期障害によるホットフラッシュを起こすことがあります。男性の更年期障害の原因は女性と同様に、加齢によるホルモンの低下と身体的な衰え、職場や家庭でのストレスと考えられています。
このような男性の更年期障害はLOH症候群と呼ばれ、男性ホルモンであるテストステロンの減少が密接に関わっています。一般にテストステロンが一番多いのは20代で、そこから徐々に減少し、性欲減退やEDなどにつながっていきます。
このテストステロンの減少による影響は、性的な部分だけではありません。暑くもないのによく汗をかくようになったり、緊張していないのに顔がほてったり、体中が熱くなるような、女性の更年期障害によくある症状のホットフラッシュの症状があらわれることもあります。
他にも、寝つきが悪かったり、耳鳴りやめまいがしたり、原因不明の頭痛が続くこともあります。また、テストステロンの減少によって髭の伸びが遅くなったり、筋力が低下して、少しの運動でも動悸や息切れを感じたりすることもあります。
しかし、男性の更年期障害についてはあまり知られていないため、年齢によるものだろうと思っている男性も多いです。
男性の更年期障害の治療法は、男性ホルモン補充療法が一般的です。効果のあらわれ方には個人差がありますが、効果のあらわれやすい人では注射直後から実感できます。
ただ、ホルモン補充療法は精子の量が減ることがわかっているため、子供を希望する男性にはおこないません。また、前立腺マーカーが2ng/ml以上の人もおこないません。
ほかには、このホルモン補充療法と合わせて漢方薬を使うこともあります。ホルモンに直接働きかけるホルモン補充療法と、体が本来持っている力を高めて症状緩和を目的とする漢方薬を組み合わせることによって、より効果的に改善を目指せます。
具体的には、やる気の低下や疲れやすさを感じている人には、補中益気湯(ほちゅうえっきとう)と呼ばれる漢方がおすすめです。頻尿や手足の冷えの改善、生殖機能へ効果があるといわれているのは八味地黄丸(はちみじおうがん)、神経過敏によって興奮しやすかったり、精神的ストレスや不安感の緩和をしたりできるのは、桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)とされています。
ただし、ホルモン補充療法も漢方の服薬も、きちんと医師の診断を受けて処方してもらいましょう。
症状を自覚していても、病院へ行く時間がなかなかとれない人もいると思います。そんな人におすすめの対処法をご紹介します。
突発的に起こるホットフラッシュは、大量の汗や急なほてりで日常生活に支障をきたすことも多いので、汗染み対策として汗脇パッドを使用したり、冷たい水で体を冷やせるように数枚タオルを持ち歩いたりすると良いでしょう。
なお、ホットフラッシュは普段汗をかきにくい人や運動不足の人に起こりやすいといわれています。運動を習慣づけて、体がバランスよく発汗できるように促しましょう。
女性の更年期障害はよく耳にするかと思いますが、男子の更年期障害はまだまだ知らない人が多いです。
体の不調は加齢のせいと決めつけず、きちんと医師の診断を受けて治療をおこなうことで快適な日常生活を送れます。気になる症状がある人は、医療機関を受診しましょう。