記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/8/2
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
子供や若い人の発症率が高いがんとしても知られる「骨肉腫」。この骨肉腫ができやすい部位には、傾向があるのでしょうか?また、骨肉腫ができるとどのような症状がみられるのでしょうか?早期発見のために役立ててください。
骨肉腫の主な発生部位は、発生頻度の高い順に並べると、以下のようになっています。
1位 | 膝(膝の近くの太ももや、すねの骨の膝に近い部分) | 60% |
2位 | 股関節 | 15% |
3位 | 顎 | 6% |
骨肉腫は通常痛みは伴わないのですが、腫瘍が大きくなり患部周辺の臓器や神経を圧迫するようになると腫れや疼痛が発生します。そして病態が進行するにつれて激痛となり、安静時にも痛みを伴うようになります。また、病態の進行が早い時には発熱や貧血が起こることもあります。
外傷の有無に関わらず、四肢の骨周辺の部位が腫大している場合は、年齢を問わず整形外科を受診しましょう。また、1度の受診で診断が難しい場合は、セカンドオピニオン(主治医以外の医師から意見を聞くこと)を受けることで、適切な治療を受けることが可能になることもあります。
骨肉腫の診断をするためには、まず初めに骨の破壊性の病変と腫瘍性の骨形成の有無を確認するために、レントゲン・CT・MRIなどの画像検査を行います。その次に、他の骨腫瘍との鑑別をする目的で、患部の一部を切除して検査する生検を行い、病理組織診断をつけることで確定診断に至ります。
骨肉腫の検査で行われる画像診断では主に、レントゲン(X線)撮影が使用されます。
小児にみられる骨肉腫の大部分は、通常型という高悪性度のもので、レントゲンでは膝や肩の関節付近の骨が虫に食われたように破壊されていたり、それに伴い骨がいびつな形に変形しているなどの所見が示されます。
低悪性度の骨肉腫の場合は、症状が骨の表面に起こることが多いです。
ただしレントゲンだけでは、骨肉腫の特徴である骨の外側にできる大きなかたまりを発見することが難しいため、CTやMRIなどを使用してその範囲を調べます。
またCTは、内臓やリンパ節の転移の有無を調べる際にも使用され、別の骨への転移は骨シンチグラフィーと呼ばれる放射性同位元素を用いて調べます。
骨肉腫は、血液検査を行うとアルカリフォスファターゼと呼ばれる酵素の数値が高くなるため、診断を下す際の指標として用いられます。
確定診断では、腫瘍の一部分を手術で採取して(生検)、その腫瘍組織を顕微鏡で調べる病理検査を行います。それにより細胞レベルでの正確な診断を下すことが可能です。
骨肉腫の主な発生部位は膝や股関節、顎などで、腫瘍が大きくなり患部周辺の臓器や神経を圧迫するようになると腫れや疼痛が発生します。骨肉腫かどうかは画像検査や血液検査などによって発見できるので、外傷の有無に関わらず四肢の骨周辺の部位が腫大している場合は、早めに整形外科を受診しましょう。