記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/7/29
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
脂肪腫とは、皮下に発生する軟部組織の腫瘍の一種で、男性よりも女性にできる確率が高いものです。では、この脂肪腫は何が原因で発生するのでしょうか?また、発見後はすぐに手術で切除するべきなのでしょうか?
脂肪腫は皮下腫瘍の一種で、成人の上肢、肩、背部などの刺激を受けやすい部位に発生することがあります。背部などの自分ではあまり見ない部分に発生した場合、痛みが伴わないこともあり、大きくなるまで気が付かないこともあります。
通常は触診や視診で診断できますが、部位や深さによってはMRI検査や超音波検査などを行い、他の疾患との鑑別を行う必要があります。また、単発の大きなものの場合は、術前に画像検査を行います。
そしてこの脂肪腫ができる原因について、はっきりしたことはわかっていないのが現状です。
脂肪腫とは良性の腫瘍で、皮下に起こる軟部組織の腫瘍では最も発症率が高いものとされており、以下のようなタイプに分けられます。
一般的には、成熟脂肪組織で作られる柔らかい単発性腫瘍が多いですが、まれに多発性のものの場合もあります。
脂肪腫の発生時期は幼少期といわれていますが、症状の進行が緩やかなため発見が遅れ、40~50歳代に発見されることが多いとされています。20歳以下で発見されることはまれです。男女比ははっきりとわかっているわけではありませんが、特に女性や肥満者に多いとされています。
脂肪腫は身体の各部に発生する可能性がありますが、主に背部、肩、頚部、上腕、臀部、大腿などに発生することが多いとされています。顔面、頭皮、下腿などに起こることはまれです。
直径数mm~10cm以上と、人により異なります。
基本的には痛みを伴うことはありませんが、皮膚がドーム状に盛り上がっており、触ると柔らかいしこりがあります。
脂肪腫は良性腫瘍のため、内臓に転移して命に関わるような状態になることはありません。
そのため、必ずしも治療しなければならないわけではありませんが、症状が進むと徐々に大きくなっていき、発生した部位によっては圧迫されたときに痛みを伴うことがあります。また、あまり大きくなってから治療を受けると、手術の傷跡が目立ったり、手術時のリスクが大きくなる可能性があるため、なるべく早い段階で治療を受けることが推奨されます。
また、再発予防のためには手術で腫瘍を完全に摘出する必要がある場合もあります。
大きな脂肪腫の場合は、脂肪吸引を行い傷を小さくする方法をとることも可能ですが、健康保険の適用外のため、一般的にはあまり用いられません。詳しい治療方法については、医療機関を受診して相談しましょう。
脂肪腫は、治療せずに放置しておいても悪性化することはほとんどありません。
ただし脂肪腫の摘出後に、病理検査によって悪性の脂肪肉腫と判明するケースもまれに存在します。
悪性の脂肪腫には
などの特徴があり、超音波検査やCT検査、MRI検査などの画像検査により調べることができます。
腫瘍が大きい場合(5cm以上)や短期間に成長が見られる場合は、組織を採取して、悪性腫瘍の脂肪肉腫の有無を確認する必要があり、悪性と判明した場合はそれに対応した治療が行われます。
脂肪腫は基本的には良性腫瘍であり、内臓に転移して命に関わったりする恐れはありません。しかし、巨大化すると圧迫時に痛みが伴ったり、まれに悪性の脂肪肉腫が判明したりするケースもあるので、早期治療をしておくことをおすすめします。