記事監修医師
川崎たにぐち皮膚科、院長
頬骨を中心に顔の両側にぼんやりとしたシミが浮かび上がってくる肝斑は、30~40代女性の多くが経験する肌トラブルですが、治療する方法はあるのでしょうか。
今回は肝斑の治療について、治療法の選択肢や副作用、そして保険適用の可否など、肝斑治療を開始する前に知っておきたい情報を解説していきます。
原則、シミの一種である肝斑は病気とはみなされないため、肝斑治療で保険適用を受けることはできません。たとえ治療という名目であっても、肝斑治療はあくまで病気ではなくその人の「審美面を治療」する目的で行われると解釈されるため、自費診療扱いとなります。
ただし、本人の症状の程度や病院・医師の判断によっては、一部の治療内容に対して保険適用が受けられるケースもあります。
肝斑治療に保険を適用するかどうかの判断は、利用する病院・医師の考え方によっても異なりますので、一度担当の医師に相談してみましょう。
肝斑の主要な治療方法としては、内服薬・外用薬・レーザー治療の3つが挙げられます。
以下に3つそれぞれの治療方法を詳しくご説明しますので、参考にしてください。
トラネキサム酸というアミノ酸の一種を内服薬として摂取する治療法で、肝斑の原因であるメラニン色素の発生を抑える効果が期待できます。
肝斑の治療法として高い有用性が確認されており、服用開始から1~2か月程度で肝斑が薄くなるなどの効果を実感できるとされています。その他、ビタミンC、ビタミンE、L-システインなども使われます。
以下のような成分が含まれた外用薬を使用し、肝斑を薄くする治療法です。他の治療方法と併用されることもあります。
肝斑の正体・メラニン色素の生成を抑える効果がある成分
美白効果があり、肌を構成するコラーゲンやヒアルロン酸の生成にも役立つ成分
美白効果があり、メラニンの生成の抑制を期待できる成分
ビタミンA誘導体の一種で、皮膚のターンオーバーを促進し肌を整えてくれる成分
肝斑にレーザートーニングというごく弱い出力のレーザーを照射して、肌のなかに蓄積されたメラニンを少しずつ壊していく治療法です。痛みやダウンタイムがほとんどないので続けやすく、5~10回程度施術を受けると治療効果を実感できるとされています。
ここからは、肝斑治療で起こる可能性のある副作用について、前項でご紹介した3つの治療法別にご紹介していきます。
肝斑治療の内服薬として使われるトラネキサム酸には、食欲不振や吐き気など、消化器系への副作用があることがわかっています。
また、血が凝固しやすくなるという副作用もあるため、心筋梗塞や脳梗塞など、血栓が原因の病気を患ったことのある人の服用には注意が必要です。
外用薬として使用されるハイドロキノン、トレチノインには、それぞれ以下のような副作用の懸念があります。
用法用量を守らず多量または高濃度のものを塗ると、肌に赤みや炎症が出たり、肌色の一部が白く抜け落ちる白斑が起こることがあります。
古い角質を落とす効果があるため、皮膚が薄くなって痛みや赤み、かゆみ、乾燥、ヒリヒリ感などの症状が出る場合があります。
レーザーを照射した部分に赤み、かゆみ、軽い火傷、水疱、色素沈着が起こる場合があります。
上記を参考に、副作用についてはあらかじめ医師にしっかりと確認してください。
内服薬・外用薬を使った投薬、レーザーなどの方法が選べる肝斑治療ですが、基本的には治療に保険適用は受けられず、自費診療となります。ただし、病院や医師の考え方・方針によっては、肝斑治療の一部が保険適用を受けられるケースもあります。詳しくは治療の内容や得られる効果、副作用の可能性などと一緒に、担当の医師に相談してみると良いでしょう。
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