記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/8/3
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
誰もが一度は名前を聞いたことのある「梅毒」。主に性行為によって感染する性病(性感染症)ですが、女性が感染した場合どんな初期症状が出るのでしょうか?
梅毒とは、「梅毒トレポネーマ」という病原体に感染して起こる性病です。感染から「3週間後」「3ヶ月~3年後」「3~10年後」「10年後」と段階を経て、性器や皮膚など全身に特徴的な症状が現れるようになります。
以降では、その中でも女性の感染者に初期にみられる症状についてご紹介していきます。
小陰唇や大陰唇周辺の皮膚や腟に、軟骨のような硬さの小さなしこりが発生します。「初期硬結(しょきこうけつ)」と呼ばれるもので、基本的に痛みやかゆみは伴いません。
これは梅毒の中でも代表的な初期症状ですが、女性の性器は中に入り込む構造をしているので、特に腟に発生した場合は自覚しにくい傾向にあります。
なお、オーラルセックスによって口や喉に感染した場合は、口の中の粘膜や咽頭周辺の粘膜に発生することがあります。
先述のしこりの中心部が潰瘍化し、びらんになります。潰瘍化しても、基本的には痛みやかゆみは発生しません。
性器周辺から梅毒に感染することで、両脚の(片足の場合もある)太ももの付け根あたりのリンパ節が腫れます。痛みは伴いません。
なお、オーラルセックスによって咽頭から梅毒に感染した場合は、頸部のリンパ節が腫れることもあります。
体や手足、顔などにバラの花びらのような、爪くらいの大きさのピンク色のアザが出現します。痛みやかゆみなどは伴わず、数週間ほどで自然に消失します。
バラ疹ができてから数週間後に、体幹や手足、顔、手のひら、足の裏などに、赤茶色をした小豆~えんどう豆くらいの大きさの丘疹が多発します(丘疹性梅毒疹)。
小陰唇や大陰唇周辺の皮膚や腟などの感染箇所に、痛みやかゆみを伴わないピンク色~薄灰色のコブが多数発生します。「扁平コンジローマ」と呼ばれる症状です。
なお、女性器付近以外にも、まれに脇の下や乳房下部に発生することがあります。
手のひらや足の裏に、銀白色のフケのようなもののついた赤茶色の発疹が出現します(梅毒性乾癬)。
体幹や頭部、頸部、手足の皮膚の一部が脱色したように白くなる、白斑症状が見られることがあります。またこれに伴い、脱毛症状が起こることもあります。
喉や扁桃が赤く腫れたり、ふやけたりといった症状が見られることがあります(梅毒性アンギーナ)。
ご紹介したように、梅毒の場合はおりものの症状が現れることは基本的にはありません。おりものが臭い、量が増えたなどの異常が現れた場合は、主に以下の原因が考えられます。
女性が梅毒を発症した場合は、性器付近のしこりや潰瘍、バラ疹など皮膚症状が中心に出るようになります。基本的にはおりものに影響することはないので、おりものに異常がみられた場合は別の疾患を疑いましょう。