過食症かどうか、診断を受けたほうがいいのはどんなとき?

2018/8/11

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

過食症は精神的なストレスをきっかけとして始まることがあります。また隠れて過食などを繰り返すため、周りの人が気づけない場合もあります。今回は過食症の特徴や疑われるサインなどをご紹介します。

冷凍宅配食の「ナッシュ」
冷凍宅配食の「ナッシュ」

過食症の特徴は?

過食症は、大量の食べ物を一気に摂取した後、食べ過ぎの影響を減らすために嘔吐や絶食などを行うことを特徴とします。一般に10~20代の若い女性に多く、人前で過食や嘔吐などの症状が出ないため、周りに気づかれることが少ないことで知られています。

過食症の人は、食べる量なども自分の意志でコントロールできない場合がほとんどです。また、ケーキやアイスクリームなどの脂肪分が多い食べ物を好む傾向にあります。体重の変動が激しい場合や100g単位で過度に体重を気にするなどの場合、過食症が疑われます

過食症の場合は、過食による体重増加を防ぐための嘔吐や下剤の服用などによって、食道の炎症や歯のエナメル質が溶ける、また血中のカリウム濃度が下がることで不整脈などの症状が出る場合があります。場合によっては、過食や排出の際に食道が裂けたり、胃が破裂するなどして、重大な合併症を引き起こす可能性もあります。

心理的な面では気分の浮き沈みが激しく、体重の増減で自己評価が変わることもあるといわれています。また、うつ病になりやすい傾向にあり、アルコールなどの乱用をする場合もあります。

これって過食症かも、というサインは?

過食症のサインには、主に以下のようなものが挙げられます。

極端に食事の量が変化する

過食症は、標準的な体重の傾向にあり、肥満の人はあまりいないといわれています。そのため、周りからはすぐに気づかれない場合があります。ただし、食事の量や食欲にわかりやすい変化がみられるため、その点に注意してみると過食症と気づける場合があります。

身体的な変化がみられる

主に嘔吐によって現れる身体の変化のことを指します。たとえば、吐きダコや不整脈、歯のエナメル質が溶けることなどが挙げられます。吐きダコとは嘔吐の際に手を口に入れることで、前歯が手に当たってできる手のタコのことです。

食生活に変化がみられる

食欲のコントロールができない、食事量が明らかに多いなどの変化がみられる場合があります。過食と、嘔吐や下剤の服用などの体重増加を抑える行動が週に1回以上、また3ヶ月以上続く場合には過食症が疑われます。

心理的に不安定になる

過食症と心の状態は深く関わっているため、精神的に不安定になる人が多い傾向にあります。体重の増加に強い恐怖感や不安を感じることや、些細なことでイライラすることなどの症状がみられます。

過食症の診断を受けたいとき、病院は何科に行くべき?

過食症かどうかを病院に診てもらいたい場合は、主に内科や心療内科、子供の場合は小児科や児童精神科などがおすすめです。ただし、現在日本では過食症などの摂食障害のみを専門としている医療機関はほぼなく、これらの診療科でも十分な治療ができない可能性があります。そのため、まずは電話や病院のホームページで確認してから受診すると良いでしょう。

自傷行為などがみられる場合には、心療内科や精神科で診てもらうことをおすすめします。ただし意識がないなど、緊急を要する場合には救急車を呼んでください。

おわりに:過食症のサインに気づけることがベスト

過食症は自覚症状に乏しいだけでなく、周りの人もなかなか気づけない場合もあります。ただし身体や心にさまざまな変化が現れる可能性があるため、周りの人がいち早くその変化に気づき、病院の受診を促してあげることが望ましいです。

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