顔の多汗症ってどうすれば治るの?症状や原因についても解説!

2018/8/20

谷口 隆志 先生

記事監修医師

川崎たにぐち皮膚科、院長

谷口 隆志 先生

異常なほどの量の汗をかいてしまう「多汗症」ですが、「多汗症」ですが、中でも顔の多汗症は目立つため、精神面にも影響を与えることが多いとされています。そんな顔の多汗症は、どうすれば治療できるのでしょうか?原因と併せてお伝えしていきます。

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顔の多汗症はどうすれば治るの?

多汗症の治療については、日本皮膚科学会が治療のためのガイドラインを出しており、2015年の改訂の際に頭部顔面多汗症の治療ガイドラインが追加となりました。

顔の多汗症では、内服薬を中心として、重症度に応じて塩化アルミニウムなどの外用薬やA型ボツリヌス菌を注射する「ボツリヌス毒素注射」という方法があります。ただしボツリヌス毒素注射は、顔の多汗症については保険診療が認められていないため、治療を受けるときは自費診療になることに注意が必要です。

また、症状が重く、本人の強い希望があるときは、内視鏡を使って発汗の指令を伝達する交感神経を遮断する交感神経遮断術(ETS)が治療法として検討されます。交感神経遮断術(ETS)は顔面多汗症においては効果が期待されていますが、顔面の汗を抑える代わりに、他の部位で多汗になる代償性発汗」が避けられないというリスクがあります。

なお、手や足の多汗症によく用いられるイオンフォトレーシス(弱い電流が流れている水に患部をつけると汗が抑えられるという治療法)は、顔面多汗症に対しての適用は勧められていません。

顔の多汗症ってどんな症状なの?

多汗症は、汗を多量にかいてしまう症状をいいます。その中でも薬剤の影響や、内臓の病気があるなど、他の病気と一緒に起こる多汗症を「続発性多汗症」といいます。

一方で、他に病気は見つからない多汗症を「原発性多汗症」といいます。原発性多汗症には部分的に汗をかく局所性の多汗症があり、症状が頭や顔にあらわれる人もいます。額や耳の後ろ、頭部の横から後ろにかけて大量の汗をかき、中には1日中汗が治まらない人もいます。

多汗症の人は、日常生活の中のちょっとした関わりで、誰かを不快にするのではないか、仕事で用いる書類や、扱っている商品を汚してしまうのではないかと、緊張感や不安を持ち続けやすくなります。特に顔は人目に触れやすいこともあり、緊張感や不安から、ますます汗を増やしてしまうことにもつながります。

顔に多汗症の症状が出る原因は?

原発性多汗症には痛みはなく、レントゲンや血液検査などを行っても異常は見つからず、命に関わる症状ではありません。原発性多汗症の人は、家族に多汗症の人が複数いるなど遺伝的な要素が関係していることが疑われており、現在研究が進められています。

現段階でははっきりとした原因はわからないものの、何らかの原因で汗をコントロールしている交感神経が過剰にはたらいていることが要因と考えられています。緊張や不安感は交感神経を刺激するため、仕事や学校生活などで不安感が高まることでより発汗がうながされ、悪循環になってしまうこともあるようです。

おわりに:日常生活に支障が出る前に、病院に相談して適切な治療を受けよう

原発性多汗症は顔や手、足など局所的に起こるものがあります。生命に関わるものではありませんが、特に顔は人からの視線が気になる部位であり、仕事や生活、人間関係に支障が出ている人もいます。そんな方はひとりで悩まず、専門外来で自分の症状に合った治療を受けるようにしてください。症状が改善するだけではなく、心も軽くなるかもしれません。

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