記事監修医師
川崎たにぐち皮膚科、院長
近年では、さまざまな疾患の内服薬として処方されることが多くなった漢方。では、多汗症の治療でも漢方の服用は有効なのでしょうか?以降で詳しく解説していきます。
多汗症(たかんしょう)には、飲んでいる薬の影響のほか、甲状腺機能低下症や低血糖などの内科的な疾患やパーキンソン病など病気に伴って起こる「続発性多汗症」と、明らかな原因がみつからない「原発性多汗症」があります。
原因がはっきりとしている続発性多汗症は病気の治療が優先されます。一方で、特に原因がわからない原発性多汗症では、内服薬や外用薬、ボツリヌス毒素の注射や手術など、重症度や本人の希望を確認しながら、治療がすすめられていきます。
そして漢方薬は、内服薬のひとつとして多汗症の治療に採用されることがあります。ただし、汗を抑えるという症状に直接はたらきかけるような、西洋医学的な治療とは異なります。漢方では、からだ全体を総合的にとらえて、どのような体質や要因が多汗症につながっているのかを探り、漢方薬を使いながら体質改善をしていくことになるでしょう。そのため、汗が多いという症状は同じであっても、人それぞれの体質によって使う薬が異なります。
多汗症の治療で用いられる漢方薬は、多汗症につながる体質に応じて、さまざまな薬の中から処方されます。以下に、多汗症で処方される漢方薬の例を挙げておきます。
以上のように、それぞれの漢方薬の効能は異なります。漢方薬にはドラッグストアなどで購入できるものもありますが、自己判断で選ぶことは止めたほうが良いでしょう。漢方というと、からだにやさしい、負担が少ないというイメージを持つことがありますが、漢方薬も薬です。体質に合わなければ副作用が生じたり、かえって症状を悪化させたりすることもあります。漢方の処方をしてくれる医療機関を受診して、自分の体質や症状に合った漢方薬を処方してもらうことが大切です。
多汗症の治療方法には外用薬や内服薬、ボツリヌス毒素の注射や手術など、いくつかの方法があります。用いる薬は西洋薬だけではなく、漢方薬を用いることもあります。ただし、漢方薬は、多汗症という症状だけをみるものではなく、患者の体質全体を踏まえて処方される薬です。漢方の処方をしてくれる医療機関を受診し、自分の体質に合わせた薬を処方してもらいましょう。