記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/8/21 記事改定日: 2019/7/17
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
赤ちゃんが乳糖不耐症になると母乳やミルクが飲めなくなってしまいます。このような場合、赤ちゃんにはどのようなものをあげればいいのでしょうか。
ここでは赤ちゃんの乳糖不耐性の原因とあわせて、対処法を解説していきます。
乳児は母乳やミルクに含まれる乳糖を腸から分泌される乳糖分解酵素(ラクターゼ)によってグルコースやガラクトースに変換し、消化吸収しています。
乳糖不耐症とは、この母乳やミルクに含まれる乳糖をグルコースとガラクトースに分解するための「乳糖分解酵素(ラクターゼ)」の活性が低下しているために乳糖を消化吸収できず、ひどい下痢を引き起こす病気です。赤ちゃんの体の成長の妨げになることもあります。
また、グルコースは脳のエネルギー源として使われますし、ガラクトースは脳のエネルギー源だけでなく脳の発達にも必要になってきます。この2つが不足すると、体の成長だけでなく脳の発達にも影響を及ぼすことがあります。
赤ちゃんが乳糖不耐症になる原因には、主に遺伝によるものと病気によるものがあります。ただ、遺伝が原因となることはかなり少なく、ほとんどは病気によるものとされています。
乳糖不耐症の原因となる病気としては、先天性乳糖不耐症やウイルス性胃腸炎による腸粘膜の損傷(ラクターゼの分泌が十分でなくなる)などが挙げられます。
乳糖不耐症は、胃腸炎などの病気を契機に乳糖不耐症となっている場合でも、遺伝として元々乳糖を消化する酵素が無い場合であっても、乳糖分解酵素材を内服したり、母乳やミルクを乳糖を含まない無乳糖ミルク(ラクトレス)や大豆乳(ボンラクト)、加水分解乳(MA-1)などに置き換える必要があります。
また、離乳食を開始している場合には離乳食中心の食事にして母乳やミルクの量を減らすことも症状改善につながります。
とくに胃腸炎などをきっかけに乳糖不耐症になった場合は一時的に乳糖分解酵素が不足しているだけであることが大半なので、乳糖を含まないミルクに置き換えることで改善が見られることもあります。
乳糖を含まないミルクに置き換え、酵素製剤などを併用するで日常生活へ支障をきたすことはほとんどなくなり、予後も良好となりますが。ただし、遺伝が原因のときはこのような対策をとってもラクターゼの活性が回復することは見込めません。
乳糖不耐症のない赤ちゃんであれば、生後9カ月頃から離乳食に牛乳を使えるようになりますが、乳糖不耐症の赤ちゃんに離乳食を作るときは、乳糖が含まれる食材を使用するのは控える必要があります。
ただ、一時的に乳糖不耐症になっているだけであれば、離乳食を進めていくうちに少しずつ症状が改善していくことが多いので、医師と相談しながら症状にあわせて少しずつ乳製品を加えながら離乳食を進めていきましょう。
遺伝あるいは胃腸炎などの病気が原因で、母乳やミルクに含まれる乳糖を分解する乳糖分解酵素が分泌されず、下痢などを引き起こしてしまう乳糖不耐症。そのほとんどは、胃腸炎などの病気によって起こる二次的な乳糖不耐症といわれています。
症状を改善するには、一時的に乳糖を含まない無乳糖ミルクや大豆乳に置き換えたり、離乳食中心の生活にシフトすることなどが有効です。乳糖を除去する生活を送ることができれば予後も良好で、日常生活への影響も少なくなります。
なお、乳糖を含まないミルクは市販もされていますが、自己判断せずにまずは医療機関へ相談することをおすすめします。