大人で初めて伝染性単核球症になると、どんな症状が出るの?

2018/8/21 記事改定日: 2019/6/28
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

感染性の病気は数多くありますが、「伝染性単核球症」は私たちにとって身近な感染症です。唾液を介して広がっていく「エプスタイン-バー(EB)ウイルス」 に感染すると、単核球(リンパ球)が増え、発熱やリンパの腫れなど風邪とよく似た症状があらわれるのです。詳しくは以降で解説していきます。

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伝染性単核球症ってどんな病気?

伝染性単核球症の主な原因は、ヘルペスウイルスの一種「エプスタイン-バー(EB)ウイルス」です。聞きなれない言葉でしょうが、実はEBウイルスを原因とする感染症は珍しくありません。子供では3歳までに7割が、成人では8~9割がEBウイルスによる感染症にかかった経験があるとされます。一度感染すると、ウイルスは感染者の体内に潜伏し続けます。

伝染性単核球症を発症するのは、EBウイルスに初感染した時点であることがほとんどです。またどのように発症するかは、EBウイルスに感染したときの年齢で異なります。子供の場合はEBウイルスに感染しても、症状がほとんどあらわれないうちに体内で抗体が作られ、再感染は起こりにくくなります。

しかし、思春期以降で感染した場合は、感染者のうち5割が伝染性単核球症を発症するといわれています。子供のころにEBウイルスに感染していれば発症の可能性は下がります。

大人が伝染性単核球症に初感染したときの、症状の特徴は?

大人になってからEBウイルスに初感染し伝染性単核球症を発症した場合は、重症化するケースが多く、脾臓破裂や黄疸など重篤な症状のおそれがあります。そのため、初期症状がみられたら早めに治療を開始することが大切です。

伝染性単核球症の主な初期症状

  • 体がだるく、強い疲労感におそわれる
  • 発熱がみられる。特に38℃以上の高熱が一、二週間続く
  • 咽頭痛(のどの痛み)があらわれる
  • リンパ節に腫れがあらわれる。特に頸部(首)のリンパに異常がみられることが多い

潜伏期間は6~8週間であり、上記の4つの症状が代表的な初期症状です。風邪とよく似た症状ですが、頸部のリンパに腫れがみられるようでしたら伝染性単核球症の可能性があります。

このほか、食欲不振や鼻づまりの症状がみられることもあります。症状は2週間程度で治まることがほとんどですが、長引くこともあり人によってさまざまです。

伝染性単核球症になったとき、どうやって治療するの?

伝染性単核球症の治療法は見つかっておらず、対症療法がとられます。まずは安静にして経過を観察します。一般的には感染してから数週間で症状は治まります。

病院を受診すると、医師の指示のもと発熱や咽頭痛に対して、鎮痛薬や解熱薬が処方されます。気道の腫れなど合併症が現れた場合、「副腎皮質ステロイド」が処方されます。

なお、自己判断で市販の薬を服用すると、症状が悪化したり内臓の機能に異常を引き起こすおそれがあるので控えてください。初期症状がみられたら耳鼻咽喉科の受診をおすすめします。

また、重症化した場合は入院が必要となることもあります。脾臓破裂のおそれがあるため医師の許可がおりるまでは、重い荷物の持ち運び、激しいスポーツ(人との接触)、転倒、打撲や外傷に気をつけましょう。

大人の伝染性単核球症はどうすれば予防できる?

伝染性単核球症の原因となるEBウイルスは親や周囲の人から子供の頃に感染していることが多く、一度感染すると再び感染して発症することは殆どありません。
しかし、子供の頃に感染していない場合には大人になって感染することもあり、子供の頃より重症化しやすいのが特徴です。

EBウイルスは感染者の唾液などに含まれており、接触感染や飛沫感染を引き起こします。とはいえ、多くの大人が感染者であることを考えると接触感染や飛沫感染を完全に予防することは難しく、万が一EBウイルスに感染した際にはできるだけ早く病院を受診して治療や経過観察を行い、伝染性単核球症への進行を防ぐことが大切です。

また、周囲にEBウイルス感染による発熱や咽頭痛などを発症している患者がいる場合には、マスクを着用する・手洗いを徹底するなど標準的な感染対策を行うようにしましょう。

おわりに:大人になってからのEBウイルス感染には要注意

伝染性単核球症の原因はEBウイルスですが、大人になってから初感染した場合、命に関わる重篤な状態に至る可能性があります。感染経路への予防対策を行い、感染リスクを下げましょう。発症の可能性がある症状が見られたら、早めに耳鼻咽喉科を受診してください。

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