記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/8/3
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
近年、若年層を中心に国内での感染者数が急増している「梅毒」。性病(性感染症)としてよく知られていますが、どんな原因で感染するのでしょうか。性行為以外でもうつることはあるのでしょうか。
梅毒とは、「梅毒トレポネーマ」という病原体に感染したことで起こる、性病の一種です。感染から3週間後、3ヶ月後、3年後と段階を経ながら、下記の症状が出たり消えたりを繰り返すのが特徴です。
こうした梅毒の主な感染原因は、性行為による感染部位との粘膜(あるいは皮膚)の接触です。梅毒の病原体の梅毒トレポネーマは感染者の精液や腟分泌液、血液、病変部などに存在しているため、セックスやオーラルセックス、アナルセックスによって、皮膚や粘膜の小さな傷を通じて相手の体内へ侵入することで感染を広げます。
なお、コンドームなしでの1回の性行為で感染する確率は20〜40%と、決して低い数値ではありません。
先ほどお伝えしたように、梅毒トレポネーマは感染者の精液や腟分泌液、血液だけでなく、病変部にも存在しています。つまり、口周囲に梅毒の病変が出ている場合は、キスを通じて感染することがあります。感染者の唾液自体に梅毒トレポネーマが含まれている場合もあるので、注意が必要です。
そして、性行為以外の主な感染原因としてもう一つ挙げられるのが、母子感染です。妊娠中の女性が梅毒に感染したまま出産すると、胎盤を通じて母子感染し、流産や死産を引き起こしたり、奇形や障害などをもたらす恐れがあります(先天梅毒)。
梅毒の感染者で大半を占めるのが25〜29歳の若い男性とされ、その多くの感染原因は性行為によるものといわれています。なお、この性行為感染の内訳として最も多いのは、異性間ではなく同性間の接触というデータも得られています。
梅毒はアナルセックスを通じて直腸に感染することもあるので、性行為の際は必ずコンドームを装着してください。
近年、梅毒感染者は増加傾向にあり、平成29年には5820人もの感染者数が報告されました。このうち1895人は女性で、近年特に20代の若い女性の感染者数が急増しています。
この梅毒の感染拡大理由について、詳しいことはわかっていませんが、特に女性は注意が必要なのがオーラルセックスによる感染です。腟性交のときはコンドームをつける方も多いかと思いますが、フェラチオなどのオーラルセックスのときに装着しないと、咽頭の粘膜や小さな傷から病原体が侵入する恐れがあります。
「梅毒=性病=セックスでうつる」というイメージが強いかと思いますが、梅毒は場合によってはキスや母子感染でも感染することのある性病です。また、オーラルセックスの際にコンドームをつけていないと、それが原因で感染することもあります。不特定多数の人との性行為や接触には十分注意し、定期的に性病検査を受けるようにしてください。