記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/8/6
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
よく知らない人とコンドームなしでの性行為をしてしまった場合、後日不安になるのが性病(性感染症)の感染です。今回はそんな性病のうち、「梅毒」の検査は病院でいつから受けられるのか、即日結果はわかるのかなどについてお伝えしていきます。
梅毒に感染しているかどうかは、血液検査によって確認します。一般的な採血検査と同じように血液を採取し、梅毒に関連する抗体の有無をチェックしていきます。
梅毒の血液検査では、下記の「STS検査(RPR法)」と「TP抗原法(TPHA法)」の2つを組み合わせて行うのが一般的です。
カルジオリピン抗体(梅毒トレポーマが体内に侵入した際、細胞が破壊されて発生する「カルジオリピン」というリン脂質に対する抗体)の有無を調べる検査方法。この抗体が「陽性」の場合は、梅毒に現在感染しているかどうかがわかります。
STS検査にはRPR法、ガラス板法などいくつかの検査方法がありますが、現在主流なのがRPR法です。RPR法では、カーボン粒子にカルジオライピン、レシチン(梅毒トレポネーマの脂質)を吸着させ、そこに採取した血液を加えた際に、カーボン粒子の集まりが見られるかどうかを検査します(集まりが見られる場合は陽性)。
血中のTP抗体(梅毒トレポーマに対する抗体)の有無を調べる検査方法。この抗体が「陽性」の場合は、梅毒に感染しているor感染していたかどうかがわかります。
TP抗原法にもTPHA法(梅毒蛍光抗体吸収法)、FTA-ABS法(梅毒血球凝集反応)などいくつか検査方法がありますが、現在採用されていることが多いのはTPHA法です。
梅毒感染の疑いがある性行為をした場合、その後すぐに検査をしても正確な結果は得られません。梅毒のウインドウピリオド(病原体に感染してから、検査で検出できるようになるまでの空白期間)は、感染からおよそ4週間といわれているので、少なくとも4週間以上待ってから検査を受ける必要があります。
なお、先述の検査のうちTP抗原法のみ実施した場合は、感染機会から2ヶ月未満で検査して「陰性」であっても、TP抗体が反応しない梅毒感染初期の可能性もあります。そのため、正確な判定を得るにはSTS検査(RPR法)も同時に行うことが推奨されます。
このRPR法の結果が「陰性」の場合は、4週間以上経過した感染機会について、梅毒感染の可能性をほぼ否定することができます。ただし、感染の可能性を完全になくしたいのであれば、感染機会から3ヶ月以上経過してからの検査が望ましいです。
医療機関によっては、梅毒の検査結果が即日(検査から15~30分後に)わかる「梅毒TP抗体即日検査」を実施しているところもあります。
ただし、この検査が受けられるのは梅毒に初めて感染した人のみです。過去に梅毒に感染したことのある人は、たとえ治癒していてもTP抗体が検出されてしまうため、RPR法とTPHA法の2つの検査を受ける必要があるからです。
病院での梅毒検査にかかる費用は、保険適用か適用外か、また医療機関によって異なりますが、おおよその目安として、保険適用の場合は3000円前後、保険適用外の場合は8000円前後が相場となります。
梅毒に感染しているかどうかは、感染機会からすぐに検査してもわかるものではありません。正確な結果を得るには、少なくとも4週間以上待つ必要があります。医療機関によって、この期間の目安や検査にかかる費用は違ってくるので、詳しくはご希望の医療機関にお問い合わせください。