記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/8/21
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
性病(性感染症)にはさまざまな種類がありますが、中でも近年感染者数が増加傾向にあるのが「梅毒」です。コンドームなしでの性行為は特に感染リスクが高いのですが、実際に梅毒に感染した場合、どれくらいの潜伏期間を経て発症するのでしょうか。また、潜伏期間中も症状や感染力はあるのでしょうか。
梅毒とは、主に性行為で「梅毒トレポネーマ」という病原体に感染したことで発症する性病の一種です。梅毒の潜伏期間は平均3~6週間ほどですが、短い場合はおよそ1週間、長い場合は13週間ほどと個人差があります。
【 厚生労働省 の情報をもとに編集して作成 】
そもそも潜伏期間とは、「病原体に感染してから症状が出るまでの期間」を指すので、潜伏期間中は症状は現れません。ただ、潜伏期間後(多くの場合は感染から3週間後)には、以下の初期症状が現れるようになります。
性器や肛門、口腔内など、梅毒トレポネーマが侵入した箇所に、小豆~指先くらいの大きさのしこりが発生します。このしこりは軟骨のような硬さをしており、基本的には痛みを伴いません(初期硬結と呼びます)。
また、このしこりが潰れて潰瘍化し、膿が出る「硬性下疳(こうせいげかん)」という症状が現れることもあります。
太ももの付け根部分のリンパ節が腫れます。痛みは伴いません。
なお、これらの症状は治療をしなくても2~3週間ほどで自然消失していきます。しかし、消失した後も体内では梅毒が進行しています。
潜伏期間中でも梅毒に感染していることには変わりないので、この間に性行為を行った場合は相手にうつしている可能性があります。
梅毒には「ウインドウピリオド(病原体に感染してから、検査で検出できるようになるまでの空白期間)」というものがあり、この間に検査をすると本当は感染していても「陰性」と出てしまうことがあります。
そして、この梅毒のウインドウピリオドは感染からおよそ4週間といわれています。つまり、潜伏期間中に検査をしても、感染しているかどうか正確な結果が得られない恐れがあります。
梅毒の潜伏期間には個人差がありますが、基本的には3~6週間程度であることが多いです。発症するとしこりや太もも付近のリンパの腫れなど、特徴的な症状が現れるようになるので、これらの初期症状を見逃さないようにしましょう。