手の湿疹の治し方 ― どんなことに気をつければ治りやすくなるの?

2018/8/17

谷口 隆志 先生

記事監修医師

川崎たにぐち皮膚科、院長

谷口 隆志 先生

ひどい手荒れを起こした場合、普段の家事や仕事などが辛く感じられるのではないでしょうか。今回は、手に湿疹ができる原因や治療法などをご紹介します。

手に湿疹ができるのはなぜ?

水仕事の多い主婦や美容師などによくみられる手荒れを「主婦湿疹(手湿疹)」といいます。手に湿疹ができる原因には、主に外部刺激によるものと体質などによるものが考えられます。

通常、皮膚には汗腺と毛包があります。皮膚の潤いは汗腺から分泌される汗と毛包にある皮脂腺から分泌される皮脂、皮膚の細胞にある脂質などによる皮脂膜によって保たれています。

しかし手の皮膚には皮脂を分泌する毛包がないため、乾燥しやすい状態にあり、一度乾燥するとひび割れが発生しやすい傾向にあります。このため、水仕事で皮膚のセラミドや天然保湿因子といった保湿成分が落ちることによりバリア機能が低下し、皮膚の過剰反応につながることで湿疹が発症するといわれています。なお、アトピー性皮膚炎がある人、敏感肌の人など、皮膚が外からの刺激に過剰に反応する人に症状が現れやすいです。

症状には「乾燥型」と「湿潤型」の2種類があり、前者は秋冬、後者は春夏にみられやすいことが特徴のひとつです。乾燥型の場合、手のひらや指にかゆみや乾燥がみられ、ひどくなるとひび割れが生じることもあります。また皮膚が硬くなったり、指紋が消える場合もあります。一方、湿潤型の場合には手のひら、指、手の甲などに小さな発疹や水ぶくれなどが現れ、かゆみが生じる場合もあります。

手の湿疹の治し方は?

基本的に、乾燥型の場合には保湿剤による治療が効果的です。保湿剤には、尿素、ヘパリン類似物質、ワセリンなどがあり、保湿性の高いものが良い場合には尿素やヘパリン類似物質を、刺激物が少ないものが良い場合にはワセリンを選ぶと良いでしょう。ただし、皮膚の状態などによって自分に合うものは変わってくるため、医師などに相談した上で決めることが望ましいです。

一方、湿潤型や症状がひどい場合には、ステロイド外用薬に効果が期待できます。ステロイドには細胞の成長や免疫を抑える作用があるといわれています。

なお、ステロイドは主な副作用としては、皮膚が薄くなることや毛細血管の拡張などが挙げられます。ステロイド外用薬には強い順にstrongest、very strong、strong、medium、weakと続き、炎症が強い場合にはvery strongやstrongestといった強いステロイドを使います。

またかゆみが強い場合には、ヒスタミンというかゆみを引き起こす物質の反応を抑える抗ヒスタミン薬などが使われることもあります。抗ヒスタミン薬には、飲み続けることによってかゆみの症状を出にくくしたり、今のかゆみを止める効果があるといわれています。

手の湿疹を防ぐために、どんなことに気をつければいい?

日常生活において、以下のような生活習慣の改善が手の湿疹には効果的です。

水仕事をする際は手袋をし、お湯の温度を低めに設定する

できるだけ湿疹の原因となっている物質から肌を保護するために、手袋をすることが有効といわれています。最初に木綿の手袋をし、次にゴム手袋をすると、ゴムの刺激からも皮膚を守ることができます。

またお湯の温度が高すぎると、肌の皮脂膜が取り除かれてしまいます。38℃前後に調整しましょう。

食器の洗い方を工夫する

食器は汚れをふき取り、洗剤を入れたお湯につけて油汚れを浮かしてから洗うようにしましょう。手間を省き、水に触れている時間を減らすことで皮膚への刺激を少なくすることができるといわれています。

洗浄料などは低刺激性のものを選ぶ

石鹸やハンドソープ、シャンプーなどの洗浄料は低刺激のものを使うようにしましょう。合成界面活性剤であるラウリル硫酸ナトリウムなどが含まれているものは避け、弱酸性のものなどを選ぶことが好ましいでしょう。

おわりに:手の湿疹は、保湿剤によるケアや生活習慣の改善を

手に湿疹ができた場合、症状や自分に合った保湿剤によるケアや、できるだけ原因となっている刺激を避けることなどが重要です。普段からできるケアを重ね、少しずつ症状を改善していきましょう。

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