梅毒はワクチンで予防できるの? 治療法は?

2018/8/10

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

近年、若い人を中心に感染者数が増加傾向にある「梅毒」。重症化すると後遺症が残ったり、命にかかわったりすることもある恐ろしい病気ですが、梅毒はワクチンで予防できないのでしょうか?予防法と治療法についてご紹介していきます。

梅毒を予防するには?ワクチンで予防できるの?

梅毒とは、主に性行為を通じて「梅毒トレポネーマ」という病原体に感染することで発症する性病(性感染症)です。感染から3週間ほどの潜伏期間の後、感染箇所(性器や肛門、口周辺など)にしこりが発生したり、太ももの付け根のリンパ節が腫れたりするようになります。この症状がおさまった後は、感染から3ヵ月後、3年後と段階を経て、徐々に症状が進行していくのが特徴です。

そして梅毒の予防法についてですが、梅毒のワクチンは存在しません。感染して梅毒トレポネーマへの抗体ができたとしても、この抗体によって再感染を防ぐことはできないからです。
しかし、下記の予防法を実践することで、感染のリスクを減らすことができます。

コンドームを着用する

梅毒トレポネーマは感染者の腟分泌液や精液、性器などの病変部に存在するため、腟性交やアナルセックスによって感染することがあります。しかしこの感染経路については、コンドームの装着によって感染の予防効果が期待できます。

風俗店には行かない(不特定多数との性行為は避ける)

近年梅毒の感染者数は増加傾向にあり、その原因の一つとして考えられているのが風俗店の利用です。特に、一般的な風俗店で提供されるオーラルセックスも、梅毒の主要な感染原因となっています。

また、風俗店を特に利用していなくても、セックスパートナーの多い人はその分、梅毒をはじめとする性病の感染リスクが高いので注意しましょう。

定期的に性病検査を受ける

梅毒の感染原因である性行為をしている限り、梅毒の感染リスクをゼロにすることはできません。梅毒に感染すると、初期症状として感染箇所のしこりが現れますが、腟内や直腸内など見えないところに発生した場合は、目視だけで防ぐことができません。知らない間に感染するリスクはあるので、定期的に性病検査を受けるようにしましょう。

コンドームだけでは梅毒は予防できない!

梅毒は、感染者の粘膜や皮膚病変部に直接性的な接触をすることで、うつるリスクがあります。そして梅毒の皮膚病変は、性器以外の場所(唇や口腔内など)にできることもあるため、コンドームだけでは梅毒を完全に予防することはできません。

特に要注意なのが、オーラルセックスやキスによる感染です。病変のある性器や肛門と口を接触させたり、また病変のある唇にキスをすることで感染してしまうことがあります。先述のように目視だけでの予防には限界がありますが、少なくともパートナーの皮膚などに病変がみられる間は、性的接触は控えるようにしてください。

梅毒の治療は、抗生物質の内服によって行う

梅毒と診断された場合は、主にペニシリン系の抗生物質の内服によって治療をしていきます(ペニシリンアレルギーのある人や妊婦の場合は、別の抗生物質が処方されます)。抗生物質の服用期間は、段階に応じて以下のように異なります。

第1期梅毒(感染から約3週間)
感染箇所のしこり(初期硬結)や、太ももの付け根のリンパ節の腫れが現れる時期。服用期間は2〜4週間。
第2期梅毒(感染から約3ヶ月)
全身のバラ疹や丘疹、性器・肛門周辺の多数のコブ(扁平コンジローマ)などが現れる時期。服用期間は4~8週間。
第3期梅毒以降(感染から約3年以降)
ゴム腫(皮下組織に発生する大きめのしこり)や神経障害などの重篤症状が現れる時期。服用期間は8~12週間。

おわりに:梅毒の予防はコンドームだけでは不十分。定期的な性病検査を

梅毒の病変は性器や肛門以外にも発生することが多いため、コンドームを装着したからといって確実に梅毒感染を予防できるわけではありません。性行為をする限りは、定期的な性病検査を欠かさず行うようにしましょう。

※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。

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