アルコール中毒の診断基準ってどんなもの?治療は病院でするの?

2018/8/8

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

アルコール中毒(アルコール依存症)の患者さんは、日本国内に80万人以上いるといわれ、予備軍も含めると約440万人にも上るとされています。そこで今回は、アルコール中毒の診断基準や治療法などをご紹介します。

アルコール中毒かどうかの診断基準とは?

アルコール中毒(アルコール依存症)とは長期間にわたって飲酒を続け、お酒を飲まずにいられなくなる状態のことを指します。その影響は身体だけでなく精神にも及び、日常生活にも支障をきたす恐れがあります。

WHO(世界保健機関)では、以下のような診断基準を定めています。過去1年間のうち、3項目以上に当てはまる場合には、専門医からの診察によってアルコール中毒と診断されます。

  • お酒を飲みたいという強い飲酒欲求や強迫感を感じたことがある
  • 自分の意志でお酒を飲む時間や量をコントロールできない
  • 減酒や禁酒の際、不眠、発汗、不安感、手の震えなどを感じたことがある
  • テンションを上げるまでに必要なお酒の量が増えたり、お酒に強くなったりした
  • お酒を飲むために趣味などの大切なことを無視したり、その時間を極端に減らすようになった
  • 過度な飲酒によって身体や心に病気が現れ、原因に自覚があるが、飲酒を続けた

アルコール依存症の基準に当てはまったら

アルコール中毒からの回復には、断酒が最も効果的です。アルコール中毒の診断基準に当てはまった場合には、専門外来への通院や入院治療がすすめられます。

外来への通院では、主に断酒した後の心身の管理や再度飲酒した場合の対処、抗酒薬などの処方など、日常生活におけるサポートが基本とされています。また、アルコール中毒の仲間との話し合いなどを通して援助し合う、自助グループに通うことも選択肢のひとつとして挙げられます。一方、入院治療は主に次の3段階にわけられます。

病気などの治療
まず大前提として、アルコール中毒が病気であることを患者さん自身に納得してもらい、治療に対して前向きに取り組んでもらえる環境づくりが必要です。その上で、身体や心を苦しめている臓器障害や精神疾患などの合併症、不安感や発汗などの離脱症状の治療が行われます。
リハビリテーションによる治療
身体や心の健康がある程度落ち着いた頃に、リハビリが始まります。飲酒への考え方、飲酒行動を改善するための精神療法や創作活動などを行う集団精神療法などを通して、退院後の生活も見越した治療を重ねていきます。また、抗酒薬の服用や自助グループへの参加なども始めていきます。
アフターケア
「アフターケアの三本柱」といわれる、外来治療、抗酒薬の服用、自助グループへの参加を継続して行います。

入院治療の場合、はじめに行うとされる「病気などの治療」は一般の病院でも十分に行うことができるといわれています。ただし、その後の「リハビリテーションによる治療」や「アフターケア」は、アルコール中毒専門の病院での治療が望まれます。

またアルコール中毒の患者さんは、本人が治療に消極的な傾向にあります。実際、家族など周りの人が本人を説得して治療を始めるケースも珍しくありません。治療を開始する段階ではもちろん、治療を続けていくうえでも家族のサポートは重要です。外来治療、入院治療のどちらの場合にも、精神的な支えとなることで本人が治療に専念できる環境を整えていきましょう。

おわりに:アルコール中毒は、専門の医師へ相談しよう

アルコール中毒は、自分の意志で飲酒を止めることができない病気です。日常生活に支障が出るだけでなく、最悪の場合は死に至る恐れもあります。専門の医療機関でしっかりと治療を受け、早めに回復できるように努めましょう。

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