記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2024/3/27
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
疲労がたまると「体が重い」「やる気が出ない」「倦怠感がある」などの症状が現れることがあります。このような疲労の蓄積は、誰にでも起こる可能性があります。しかし、疲労がたまった状態が続くと、仕事やプライベートに支障が出ることもあるので、早めに回復を促したいところです。この記事では、疲労が原因で起こる症状とおすすめの疲労回復対策について、疲労が回復しないときに考えられることについてもあわせて解説していきます。
人間の体は、気温や湿度など外部環境が変化しても体内の状態を一定に保とうとする恒常性(ホメオスタシス)の機能を持っており、体にかかる負担が許容できる範囲を越えそうになったときには、「神経や筋肉をこれ以上使ってしまうと、体に変調をきたします」と伝えてくれます。つまり、疲労は「心と体を使いすぎている」ことを教えてくれるサインでもあります。
日々の生活に疲労はつきものです。疲労をためこまないようにするため、「自分でできる疲労回復方法」を日常に取り入れましょう。疲労を回復する方法としては、以下で紹介する休養、食事、運動の3つのアプローチがあります。疲労の度合いによって使い分けたり組み合わせたりしながら、自分にあう方法を探してください。
睡眠中は体だけでなく脳も休養をとれるため、全身の疲労回復につながります。疲労回復のためには「睡眠」はとくに重要です。睡眠時間を確保することも大切ですが、質の高い睡眠がとれるように、睡眠環境を整えるようにしてください。また、「入浴」で血流を促進することでも、筋肉への負担を和らげ、休養を促すことができます。38~40℃のぬるめの湯船につかると副交感神経が優位になることでリラックスしやすくなり、心身が休養モードに切り替わりやすいです。お好みでのアロマオイルを湯船に垂らしてもいいでしょう。
また、瞑想をして精神面からのストレス軽減や感情のコントロールを試みることも休養につながります。室内で行ってもかまいませんが、自然のなかで行うとリフレッシュしやすいです。
回復に必要な栄養をバランスよく摂りましょう。体を動かすエネルギーとなる三大栄養素(炭水化物、脂質、タンパク質)、消化吸収を助けるビタミン、ミネラルを意識的に取り入れてください。また、「水分補給」は老廃物の代謝を促しますので、十分に摂取してください。食事だけで栄養のバランスをとれない場合は、ビタミン類・ミネラル類・プロテイン・アミノ酸などの「サプリメント」を補助的に活用してもかまいません。ただし、腎臓や肝臓の病気などがあり食事制限をされている場合は、必ず医師に相談し、許可をもらったうえで上記の対策をしてください。
適度な有酸素運動をすることで酸素が体に行きわたり、血行が促進されます。また、有酸素運動は、セロトニン(分泌が不足すると疲労感や抑うつ状態を招く脳内物質)を増やすことに役立ちます。ストレッチやヨガで縮んだ筋肉をゆっくり伸ばすことも、筋肉への酸素と栄養の供給を促し、疲労回復を早めてくれます。また、マッサージは、老廃物の排出や血液・リンパの流れを促すことに役立ちます。「気持ちいいと思う強さ」で行いましょう。
「十分な休息をとったのに倦怠感が続く」など、さまざまな疲労回復方法を試みても疲れが取れない場合は、糖尿病や高血圧、悪性腫瘍などの「原因となる病気」が隠れている可能性があります。早めに最寄りの医療機関を受診してください。なお、体への異常がみられなかった場合は「うつ病」などの心の不調の可能性もあるため、心療内科の受診を案内されることもあります。
疲労は心と体が伝える「休養が必要なサイン」です。休養・食事・運動の面から回復方法を取り入れ、ご自身を労わってください。これらの対策をとっても疲れがとれない場合は、念の為医療機関を受診し、病気が隠れていないか確認しておきましょう。