記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/8/13
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
A型肝炎は、A型肝炎ウイルスによって起こる肝疾患で、汚染された食品や水を摂取することで感染します。世界中で発生がみられ、周期的に流行を起こしているA型肝炎ウイルスに対し、私たちはどのような対策を講じていけばよいのでしょうか?以下で詳しく解説していきます。
A型肝炎の原因となるA型肝炎ウイルス(HAV)は、ピコルナウイルス科に属する小さな球形のウイルスで、酸に強く、アルコールにも耐性があるという特徴があります。
このため、不活性化には十分な加熱(85℃で1分以上)、あるいは紫外線照射、塩素処理などが必要になります。口から体内に入ったウイルスは消化管内で不活化されることなく、糞便とともに排出されます。
このウイルスの感染源としては、汚染された水や食品がもっとも多いとされていますが、国内で発生した事例の多くは感染源が特定されていません。A型肝炎ウイルスによる食中毒の原因食品として明らかになっているのは、二枚貝の一種であるウチムラサキ貝(大アサリ)とにぎり寿司による事例のみです。ただし、感染症発生動向調査の報告によれば、カキなどの海産物、寿司および肉類、そして井戸水なども感染源として推定されています。
一方、諸外国では二枚貝の他にも、レタスや青ネギなどの野菜、冷凍ラズベリーや冷凍イチゴなどの果物による集団感染事例も報告されています。
A型肝炎に感染すると、2〜7週間(平均4週間)ほどの潜伏期間を経て、急な発熱、全身のだるさ、食欲不振、吐き気、嘔吐、さらには肝機能低下による黄胆などがみられます。ちなみに、ほとんどの症例で38℃以上の発熱が見られ、急激に発病するのが特徴です。
子供の場合は軽症ですむことが多いのですが、成人では症状も肝障害の程度も重くなる傾向にあります。A型肝炎には特別な治療法はなく、安静と食事療法を中心にした、症状にあわせた対症療法が基本になります。
A型肝炎の予後は一般的に良いケースが多く、ほとんどの人は1〜2か月の経過の後に回復しますが、高齢者では重症化することも多いため、注意が必要とされています。しかし、A型肝炎は一度かかると永久免疫ができるため、二度と感染することはありません。
現在では、日本国内での感染は減少してきていますが、衛生環境の悪い国や地域(流行蔓延地域)を訪れた旅行者が感染して、帰国後に発症するケースが増えています。東南アジア、アフリカ、中南米などの途上国を中心に全世界的に流行がみられ、日本、オセアニア、西ヨーロッパ、北アメリカ以外は、すべて感染危険地域とされているので、くれぐれも警戒が必要です。
A型肝炎ウイルスへの感染を防ぐには、以下のことがポイントになります。
A型肝炎は、性交渉時に感染することもあります。急性A型肝炎に感染しているパートナーがいる人は、性交渉はもちろんのこと、同居生活の中においても細心の注意を払う必要があるでしょう。
また、上下水道設備の不十分な地域や衛生環境の悪い国や地域へ渡航する際は、かならず予防接種を受けるよう医師と相談してください。世界中で何百万もの人々がワクチンを接種していますが、今のところ重篤な副反応は起こっていません。また、渡航者は他のワクチンと一緒に接種することができます。
A型肝炎のワクチン摂取を受けたことがなく、過去に感染したことのない人であれば、誰もがA型肝炎に感染する可能性があります。慢性肝炎を起こすことは稀ですが、全身の衰弱症状や劇症肝炎(急性肝不全)を起こすことがあり、最悪の場合は死に至るケースもあります。あらゆるリスク要因を排除して、感染を予防するようにしましょう。