全身に湿疹が広がる「自家感作性皮膚炎」ってどんな病気?

2018/9/4

谷口 隆志 先生

記事監修医師

川崎たにぐち皮膚科、院長

谷口 隆志 先生

全身に細かな湿疹が現れた場合、考えられる原因疾患のひとつに「自家感作性皮膚炎」があります。今回はこの自家感作性皮膚炎について、症状の特徴や原因、治療、予防法をお伝えしていきます。

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突然湿疹が全身に広がる「自家感作性皮膚炎」とは

自家感作性皮膚炎は、強い皮膚炎が体のどこかに起きた後に、その部位を原発巣(げんぱつそう)として、細かな湿疹が全身の皮膚に広がる皮膚炎です。顔や胸や背中、おなか、手や足などに、直径1mm程度の細かな湿疹ができ、一部は大きくなったり、水ぶくれを起こしたりすることもあります。

皮膚の乾燥や、何かの刺激物質によって皮膚炎が起こって症状が悪化し、ジュクジュクしてくると自家感作性皮膚炎に繋がりやすくなります。

原因は、まだはっきりしていない部分もありますが、原発巣で起きた免疫反応が関わっていると考えられています。炎症が起きている部位で壊れた皮膚や感染した細菌の毒素・成分が体内に入ると、体の免疫細胞が活発になります。そして、この免疫細胞が他の部位にも影響を与えることで、自家感作性皮膚炎の症状が起こるとされています。

自家感作性皮膚炎を発症したら、どうやって治療するの?

治療はステロイド外用薬を基本として、必要に応じて内服薬を併用します。ステロイド剤は、人間の副腎(ふくじん)という臓器でつくられるホルモンと同じ成分の薬です。外用薬では、表面にあらわれている炎症を抑えることと、炎症の原因となる免疫のはたらきを抑えることを目的にして使われます。

ステロイド剤には多くの種類があり、市販薬にも含まれていることがあります。しかし、安易な使用は症状が改善しないばかりか、副作用につながることもあります。医師の診断を受けて症状に合わせた薬の選択をしてもらい、適切な使用をすることが大切です。

自家感作性皮膚炎を予防することはできる?

皮膚は、全身を覆ってからだの水分の蒸発を防ぐ役割がありますが、冬の寒さや年齢、生まれつきの体質などによって、肌を守っているバリア機能が失われ、肌が乾燥してカサカサになっていることがあります。肌の乾燥は、ちょっとした刺激で炎症や、かゆみを引き起こし、さらにかきむしって皮膚の炎症を悪化させるという悪循環に繋がります。そして自家感作性皮膚炎は、悪化した原発巣を由来に全身に広がります。

そのため、自家感作性皮膚炎を予防するためには、乾燥を防ぎ、原発巣の皮膚炎を悪化させないことが大切です。入浴時は保湿力のある入浴剤を使ったり、乾燥する場所は乳液やクリームなどを使ったりして保湿を心がけましょう。

また、乾燥やかゆみ、湿疹など症状が悪化したときは早めに医療機関を受診することで、早期に治療を開始することができます。早い段階で原発巣の症状が改善すれば、結果的に自家感作性皮膚炎の予防となります。

おわりに:ステロイド剤は医師に処方してもらうのが安心。早めに皮膚科に相談しよう

自家感作性皮膚炎は、悪化した皮膚炎(原発巣)を原因として、全身に細かな湿疹がみられる症状です。医療機関での治療は、ステロイド外用薬を中心に行われます。ステロイド剤にはさまざまなものがありますが、医師の処方のもとで、症状に合った薬を適切な用法を守って使うことが大切です。また、日頃から肌が乾燥しないようにケアを行ったり、湿疹が悪化しないよう早めの受診を心がけたりして、自家感作性皮膚炎の予防をしていきましょう。

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