糖尿病で感覚障害が起こる原因は? どう治療していくの?

2018/8/17

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

糖尿病患者さんは、ある程度症状が進行すると、手足のしびれや痛み、感覚の鈍化といった感覚障害を訴えることがあります。今回はこの感覚障害について、糖尿病との関連性や治療法などをお伝えしていきます。

糖尿病だと感覚障害がなぜ起こる?原因は?

糖尿病には「糖尿病性網膜症」「糖尿病性腎症」「糖尿病性神経障害」の三大合併症があり、このうち神経障害では、手足がしびれる、痛みを感じる、感覚が鈍くなるといった感覚障害がみられます

糖尿病によって感覚障害が起こる主な原因は、高血糖の状態が続き、末梢神経が侵されたことです。私たちの体の隅々に張り巡らさせている末梢神経には、痛みや温度を感じる「感覚神経」などが通っていますが、糖尿病で高血糖が続くと細胞の活動メカニズムが狂い、神経細胞の中にソルビトール(糖アルコール)という物質が蓄積されることで、神経機能が障害されます

また、高血糖は細小血管の血流も悪化させるため、神経細胞に酸素や栄養が届かなくなることで、さらに神経障害は悪化します。これらの原因により、末梢神経を通る感覚神経がうまく機能しなくなり、物に触れたときの痛みや熱さなどを感じにくくなってしまうのです。

糖尿病による感覚障害の症状とは?

糖尿病性神経障害によって、末梢神経が壊れ始めると、初期段階で以下の症状が見られることがあります。

  • 手足のしびれ、痛み
  • 虫が這っているような感覚
  • 指先や足先がやたら冷たく、あるいは熱く感じる
  • 寝ている間によく足がつる

また、糖尿病性神経障害の場合は上記のような感覚障害以外にも、排尿困難や勃起不全、便秘や下痢、起立性低血圧(立ちくらみなど)、眼球運動の障害などさまざまな症状が見られます。

糖尿病による感覚障害を治療するには?

感覚障害(神経障害)を放置していると、足を怪我したことに気づかず潰瘍化し、壊疽を起こして切断を余儀なくされるなど、その後の人生に大きく関わる事態に発展する恐れがあります。

もし糖尿病患者さんで神経障害が発覚した場合は、血糖コントロールの改善を行うことがまずは重要です。血糖値をなるべく正常範囲内に近づけることで、血流が改善して神経細胞に酸素や栄養が行き届くようになり、また神経細胞内のソルビトールが除去されやすくなります。

そして、血糖コントロールと並行して、神経障害に対する薬物療法も行っていきます。具体的には、ソルビトールの蓄積や神経細胞の損傷を防ぐ「アルドース還元酵素阻害薬」や、血流を改善する薬などが処方されます。

なお、神経障害の治療中に痛みが悪化することがあります。これは「治療後神経障害」と呼ばれる現象で、詳しいメカニズムはわかっていませんが、神経の機能が復活することで、これまで感じなかった痛みを感じるようになるためと考えられています。この現象は治療過程で生じる反応のため、痛くなったからといって自己判断で治療を中止しないよう注意が必要です。

おわりに:日頃からの血糖コントロールの徹底を

糖尿病で高血糖の状態が続くと、末梢神経の機能が障害されるために、感覚障害の症状が見られるようになります。感覚障害は放置すると、足の切断にもつながることがあるので、糖尿病や糖尿病予備軍の方は、日頃から血糖コントロールを欠かさず行うようにしましょう。

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