記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/8/20 記事改定日: 2019/6/17
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
自殺を考えたり、寝込んだりするほどではないものの、なんとなく1日中気分が落ち込んでいる状態がずっと続いている場合は、「気分変調性障害」のサインかもしれません。以降ではこの気分変調性障害について、診断基準や原因、治療法など全般的な情報を解説していきます。
気分変調性障害とは、抑うつ気分がほぼ1日中持続し、長期間続く病気です。
アメリカ精神医学会の診断と統計マニュアル「DSM-5」では「持続性抑うつ障害」(気分変調症)の名称で解説されており、診断基準は以下の通りです。
気分変調性障害と診断されるには、上記のA~Hすべての条件を満たす必要があります。ご紹介したとおり、うつ病と症状が似ていますが、うつ病では性欲の減退といった客観的な症状が目立つのに対し、気分変調性障害ではそうした症状は特にみられず、主観的な症状を主張するという違いがあります。躁病の症状も基本的にみられず、うつ状態もうつ病の人と比べ軽度で、日常生活もなんとか送れるレベルです。
気分変調性障害では次のような心身の症状や変化が現れます。当てはまる項目が多い人は、放置せずに早めに精神科や心療内科などの専門医に相談するようにしましょう。
気分変調性障害の原因ははっきりとはわかっていませんが、もともとの性格や環境、遺伝要因などが関連していると考えられています。
気分変調性障害の治療法としては、薬物療法と認知行動療法の組み合わせが最も有効とされています。
セロトニン再取り込み阻害薬などの抗うつ薬が有効なことが多いです。ただし、気分変調性障害は長期にわたる疾患のため、抗うつ薬の処方を推奨しない医師もおり、また抗うつ薬を長期的に投与してもほとんど改善がみられない場合もあります。
ものの考え方や受け止め方の癖を認識し、それを改めることで、気持ちを楽な方向へ変化させたり、行動をコントロールしたりする治療方法です。
なお、気分変調性障害の予後には個人差があり、診断を受けてから1年以内に寛解する率は10%ほどで、完治にいたらず症状が続いてしまうケースも少なくありません。ただ、放置しているとうつ病を併発してしまうこともあるので、気付いた段階での早期治療が大切です。
気分変調性障害の診断基準におおむね該当するようであれば、ほかの精神疾患を併発する前に、心療内科などの専門外来を受診しましょう。長く付き合っていくことになる場合が多い病気ではありますが、専門的なケアや投薬を続けることで、少なくとも症状の緩和は期待できます。