気分変調性障害とは? 診断基準や原因、治療法を解説

2018/8/20

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

自殺を考えたり、寝込んだりするほどではないものの、なんとなく1日中気分が落ち込んでいる状態がずっと続いている場合は、「気分変調性障害」のサインかもしれません。以降ではこの気分変調性障害について、診断基準や原因、治療法など全般的な情報を解説していきます。

気分変調性障害とは? DSM-5での診断基準について

気分変調性障害とは、抑うつ気分がほぼ1日中持続し、長期間続く病気です。
アメリカ精神医学会の診断と統計マニュアル「DSM-5」では「持続性抑うつ障害」(気分変調症)の名称で解説されており、診断基準は以下の通りです。

  • A.抑うつ気分がほとんど1日中存在し、それのない日よりもある日の方が多く、その人自身の言明または他者の観察によって示され、少なくとも2年間続いている(小児や青年の場合はイライラ感のこともあり、持続期間は少なくとも1年以上)。
  • B.抑うつの間、以下のうち2つ以上が存在する。
    1. 食欲減退または過食
    2. 不眠または過眠
    3. 気力の低下または疲労
    4. 自尊心の低下
    5. 集中力の低下または決断困難
    6. 絶望感
  • C.この障害の2年間の期間中(小児や青年については1年間)、一度に2ヶ月を超える期間、基準AとBの症状がなかったことがない。
  • D.大うつ病障害の基準の症状が、2年間持続的に存在してもよい。
  • E.躁病/軽躁病エピソードが存在したことがなく、気分循環性障害の診断基準に合致したことがない。
  • F.障害が、持続性統合失調感情障害、統合失調症、妄想性障害、または他の特定の(あるいは特定されない)統合失調症スペクトラムと他の精神病性障害でよりよく説明できない。
  • G.症状が物質(薬物や投薬、あるいは他の治療など)の生理的作用によるものではない。
  • H.症状は臨床的に著しい苦痛、または社会的・職業的・他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている。

気分変調性障害と診断されるには、上記のA~Hすべての条件を満たす必要があります。ご紹介したとおり、うつ病と症状が似ていますが、うつ病では性欲の減退といった客観的な症状が目立つのに対し、気分変調性障害ではそうした症状は特にみられず、主観的な症状を主張するという違いがあります。躁病の症状も基本的にみられず、うつ状態もうつ病の人と比べ軽度で、日常生活もなんとか送れるレベルです。

気分変調性障害の原因とは

気分変調性障害の原因ははっきりとはわかっていませんが、もともとの性格や環境、遺伝要因などが関連していると考えられています。

性格
過度に気を遣う、自責の念が強い、自尊心が低いといった性格の人は、気分変調性障害を発症しやすい傾向にあります。
環境
子供の頃の親との離別経験が、原因になることがあります。
遺伝
気分変調性障害の患者には、うつ病や双極性障害の家族がいる場合が多いということがわかっています。

気分変調性障害の治療法

気分変調性障害の治療法としては、薬物療法と認知行動療法の組み合わせが最も有効とされています。

薬物療法

セロトニン再取り込み阻害薬などの抗うつ薬が有効なことが多いです。ただし、気分変調性障害は長期にわたる疾患のため、抗うつ薬の処方を推奨しない医師もおり、また抗うつ薬を長期的に投与してもほとんど改善がみられない場合もあります。

認知行動療法

ものの考え方や受け止め方の癖を認識し、それを改めることで、気持ちを楽な方向へ変化させたり、行動をコントロールしたりする治療方法です。

なお、気分変調性障害の予後には個人差があり、診断を受けてから1年以内に寛解する率は10%ほどで、完治にいたらず症状が続いてしまうケースも少なくありません。ただ、放置しているとうつ病を併発してしまうこともあるので、気付いた段階での早期治療が大切です。

おわりに:気分変調性障害かも?と思ったら専門外来の受診を

気分変調性障害の診断基準におおむね該当するようであれば、ほかの精神疾患を併発する前に、心療内科などの専門外来を受診しましょう。長く付き合っていくことになる場合が多い病気ではありますが、専門的なケアや投薬を続けることで、少なくとも症状の緩和は期待できます。

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