切れ痔(裂肛)にオロナイン®を塗れば治るって本当?

2018/8/28 記事改定日: 2019/9/18
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

肛門は血管や神経が集まるデリケートな器官。お尻のトラブル「切れ痔」は実は患者数が多い病気です。困った切れ痔の対処として「オロナイン®」を塗る人がいますが、その効果について解説します。さらに切れ痔に有効な薬や手術の方法などを紹介しますので、切れ痔の一般的な治療を理解していきましょう。

切れ痔(裂肛)はオロナイン®で治せる?有効成分の種類は?

「オロナイン®(オロナイン®H軟膏)」とは軟膏の一種です。

オロナイン®(オロナイン®H軟膏)

効能・効果
手指・皮膚の消毒、手術部位の皮膚の消毒、医療機器の消毒、手術室・病室・家具・器具・物品などの消毒など
成分
有効成分としてクロルヘキシジングルコン酸塩液(20%)を含む
ほか、添加物としてラウロマクロゴール、ポリソルベート80、マクロゴール、グリセリン、オリーブ油、ステアリルアルコール、サラシミツロウ、ワセリンなど

オロナイン®に配合されているクロルヘキシジングルコン酸塩液には傷口を消毒して化膿を防ぐ作用がありますが、痔に対する効果・効能は認められていません。

そのため、消毒目的で使用することはできますが、痔の腫れ・痛み・かゆみ・出血などを治す効果はありません。切れ痔に効果が期待できる有効成分は下記の種類です。

切れ痔に効果的な成分

切れ痔の症状に効果的な成分としては、次のようなものが挙げられます。

ステロイド
炎症を抑え、かゆみや腫れなどを鎮める
リドカイン
麻酔効果があり、切れ痔の痛みを一時的に緩和する
ビタミンE
血行を改善し、傷口の修復を促す
アラントイン
炎症を鎮め、傷口の修復を促す

切れ痔(裂肛)を治す方法は?手術が必要になるのはどんなとき?

切れ痔(裂肛)の治療では、おもな原因となる便秘や下痢を予防し、裂傷を治すことを目的とした保存療法(生活療法)が中心となります。ただし、肛門括約筋の炎症により狭窄が起きている場合は、手術を行う必要があります。

基本的には、痔の症状悪化を防ぐため排便習慣と食生活改善を行い、必要に応じて薬物療法を行います。

排便習慣の改善

排便を我慢しない

便秘を防ぐためにも、排便を我慢しないこよが大切です。便意は、便が直腸の壁にある圧受容体を圧迫することにより発生します。便意を我慢する圧受容体の感覚が鈍くなり、やがて便意を感じることができなくなり、便秘を招きます。

排便時間は3分以内が目安!

便意を感じたときは、直腸まで便が届いている状態のため、健康的な状態であれば最初のいきみでほとんどの便が排出されます。残った僅かな便を排出するために力をいれていきむことは、肛門に負担をかけて痔の原因となります。排便時間は3分以内にとどめるようにしましょう。

便は完全に出し切らなくても健康に影響を及ぼすことはないため、心配する必要はありません。

排便後のおしりを清潔に

排便後にトイレットペーパーで拭くだけでは肛門の皺に便をすりこむだけで、清潔を保つことが難しくなります。温水洗浄便器を活用して肛門を洗浄し、きちんと乾燥させることで清潔を維持できます。

食生活の改善

切れ痔は便が硬くなることによって引き起こされます。また、一度切れ痔になった後も便が硬い状態が続くと、傷口が刺激され症状が悪化したり再発を繰り返すことがあります。

切れ痔になったときは、十分な水分と食物繊維を多く摂り、高脂肪や高たんぱくの食事を避けるなどして、できるだけ便が硬くならないような食生活を送るようにしましょう。
また、香辛料が多く含まれる食事を摂ると患部が刺激されることもありますので、控え目を心がけることも大切です。

医師が処方する切れ痔の薬は?

外用薬(軟膏、坐剤など)

期待される効果と使用の目的
疼痛・出血・膨張などの症状の緩和、粘膜の保護、潤滑油などの目的で軟膏剤や坐剤が使用されます。
特徴
坐剤や注入軟膏は内痔核への使用に適しています。直接患部に塗ることができる軟膏は外痔核に適しています。術後創や裂肛などで強い疼痛がある場合は、挿入時の痛みが比較的少ない注入軟膏の使用が適しています。

内服薬

期待される効果と使用の目的
肛門周囲の血行を改善して、患部の腫れを抑え、出血・痛み・かゆみなどの症状を緩和する効果があります。身体の内側から切れ痔の症状にアプローチして、症状の改善と早い治癒を目指すために使用されます。
特徴
基本的には緩下剤や抗生物質などが使用されます。痛みの程度が強い場合には非ステロイド性抗炎症薬などが使用されることがあります。

切れ痔の市販薬の種類と病院受診の目安は?

切れ痔に効く薬には市販薬があり、塗り薬や注入薬など様々なタイプのものが販売されています。出血や炎症、痛みを抑える成分などが含まれており、切れ痔の辛い症状を緩和する効果が期待できます。

市販の塗り薬
プリザエース®軟膏、ボラギノーザ®軟膏、シリーナ®、ドルマイン®軟膏など
市販の注入薬
プリザエース®注入軟膏、ボラギノーザ®軟膏など

市販薬で症状が改善することがありますが、市販薬では対処できない重度な切れ痔や化膿した切れ痔の場合は、市販薬の使用を中止し病院を受診するようにしてください。
次のような状態がみられたら、病院を受診しましょう。

病院受診の目安
  • 排便の度に多量の出血を繰り返す
  • 市販薬を使用しても症状が改善しない
  • 肛門に非常に強い痛みがある
  • 肛門が腫れている

おわりに:オロナイン®は痔に対する治療効果は期待できません。排便習慣の見直しや薬を組み合わせて症状改善を目指します

オロナイン®には切れ痔を治す効果は期待できません。切れ痔の薬物療法では、軟膏や坐薬、緩下剤、抗生物質などが処方され、切れ痔に対する有効成分を含む市販薬もあります。ただし切れ痔の状態が重症の場合などは手術を受ける必要があるため、医療機関で適切な治療を受けましょう。

※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。

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