記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/9/3
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
便秘などが原因で肛門の皮膚が傷つき、切れ目ができてしまう「切れ痔」。この切れ痔を繰り返すと、お尻の状態はどのように悪化していくのでしょうか。切れ痔の再発防止策と併せてお伝えしていきます。
切れ痔は、便秘などで硬い便をだすとき、肛門の皮膚を傷つけてしまうことが原因でできます。初期であれば、傷も軽度で出血も少ないのですが、繰り返すことで傷はどんどん大きくなっていき、炎症も起こって痛みも強くなります。
さらに、一度ついた傷を治すとき、その皮膚はより厚くより硬く盛り上がっていきます。すると、「肛門ポリープ」や「見張りイボ」などの皮膚の突起物となり、これがお尻の外に飛び出てくることもあるのです。
また、これよりも状態が進むと、「肛門狭窄」と呼ばれるお尻の穴自体が小さくなってしまった状態になることもあるでしょう。こうなると、以前は平気だった硬さ、大きさの便も出すことができなくなっていきます。
切れ痔は、繰り返せば繰り返すほど重症化していきます。「急性裂肛」と呼ばれる、一時的についた擦り傷程度であれば、塗り薬などで治療することができます。しかし、肛門が繰り返し傷ついて「慢性裂肛」になると、痛みや出血の悪化だけでなく見張りイボや肛門ポリープなどの皮膚の突起物ができてしまうのです。こうなると薬での治療は難しくなり、皮膚を切るなどの手術を行わなければならない場合があります。
そして、お尻の穴自体が小さくなってしまう肛門狭窄になると、手術なしには治すことができません。余計な皮膚を切除したり、排便の際の痛みを恐れて緊張してしまう肛門の括約筋の状態を改善したりするための、切開手術を受けることになります。
薬で傷を治したり、手術を受けたりしたとしても、また硬い便を出し続ければ切れ痔は再発します。つまり、便の質や排便習慣自体を見直さなければ、根本的な解決にはならないのです。
便意があったときはすぐにトイレへ行き、5分以内にするりと出せるぐらいの硬さの便にすることが理想です。朝からしっかりと排便のサイクルを整えるには、充分な水分をとることはもちろん、朝ごはんを食べることも大切となります。朝起きたらコップ一杯の水を飲むこと、または、食物繊維の多いライ麦パンや冷たい牛乳をかけた玄米フレークなどを食べることなどは、手軽に取り入れられる習慣です。
また、食物繊維を多く含む食材は、朝食だけでなく毎回の食事の中でできるだけ意識したほうがいいでしょう。便を柔らかくする水溶性食物繊維を含む、海藻や果物、こんにゃくなど、そして便のかさを増やす不溶性食物繊維を含む、ごぼうや芋、野菜などをバランスよく食べてください。
さらに、円座やドーナツクッションなどは、座るときに肛門にかかる負担を減らしてくれます。座り仕事が多い人は、使ってみることをおすすめします。
切れ痔は、繰り返せば繰り返すほど重症化していきます。一時的についた擦り傷程度であれば、塗り薬など治療することができます。しかし、その後も傷がついたり治ったりを繰り返すと、痛みや出血の悪化だけでなく見張りイボや肛門ポリープなどの皮膚の突起物ができてしまうのです。さらには肛門の穴が小さくなり、排便が困難になる事態にまで陥ると、最終的には手術なしには治らない状態になります。生活習慣から見直し、切れ痔を繰り返さないようにしましょう。
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