痔を治すために積極的に摂りたい食べ物って?

2018/6/8

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

痔を改善するために必要な食べ物や、気をつけるべきポイントなどはあるのでしょうか?痔の改善に効果のある食品や生活習慣について解説していきます。

冷凍宅配食の「ナッシュ」
冷凍宅配食の「ナッシュ」

痔を治すためにおすすめの食べ物は?

まず、お尻に負担をかけないようにするには、排出しやすい便を作り、排便をスムーズに行えるようにすることが大切です。例えば、ヨーグルトやキムチなどに多く含まれている乳酸菌は、腸内の善玉菌を増殖させ、腸の状態を整える効果があります。
また、痔の原因となる下痢や便秘を改善するためには、乳酸発酵食品を食べるのが良いでしょう。野菜はそのままサラダにすると体を冷やすため、温野菜を温めて食べるのがおすすめです。

腸の状態を良くするためにも、以下の食品を積極的に食べるように心がけましょう。

根菜類(大根・ゴボウ・れんこん)

大根・ゴボウ・れんこんなどの根菜類に含まれる食物繊維は、「不溶性食物繊維」と呼ばれる水に溶けにくいもので、便を固めたり腸の蠕動運動を促進する効果があります。また、体を冷やしにくい食品なので、痔の大敵である冷えを予防する効果も期待できます。

海藻類

昆布・わかめ・ひじきなどに含まれる「水溶性食物繊維」は、便をやわらかくする効果があります。便秘がちの人は水溶性食物繊維と不溶性食物繊維をバランスよく摂取しましょう。

豆類(特に納豆)

豆類は、他の食品と比較すると食物繊維の量が多く、ビタミン類やタンパク質も多く含まれています。特に納豆には整腸作用があるとされているため、痔の予防対策としてもおすすめです。

魚類

排便をスムーズにするためには、脂分も必要となります。魚類(特に青魚)に含まれるビタミン類には腸管内の潤滑油以外にも、肛門周辺の粘膜や皮膚を保護する働きもあるため、おすすめです。ただし、お肉の脂には、腸内の悪玉菌を増殖させる作用もあるので、魚もバランスよく取り入れるようにしましょう。

痔を治す秘けつは「お通じ」にあるって本当?

肛門出血を引き起こす主な原因は、排便がスムーズにできていないことにあります。
特に女性の場合は、強く息んだり、急いで排便しようとすることにより、肛門に負担をかけていることが多いです。内痔核が悪化すると外痔核と一体化して、排便時に肛門から脱出してしまうため、それを防ぐためにも、日ごろの排便習慣を見直す必要があります。

肛門の皮膚が切れる切れ痔も、多くの場合は排便の際に強く息むことが原因とされています。基本的に、排便さえスムーズにできていれば、薬を使用しなくても治るのですが、逆に、薬を塗っていても排便がうまくできていなければ治りません。
ただし、あな痔の場合は、大腸菌の感染などによる膿瘍が発症の原因となるので、下痢予防や疲労防止をする必要があります。

痔を悪化させない4つの心得

スムーズな排便を心がける
1日計2Lの水分を食事や飲み物から摂取して、排便しやすい便のかたさになるようにしましょう。食物繊維をとり入れるのもおすすめです。また、下痢気味の人は、暴飲暴食や冷たい物の過剰摂取は控えましょう。
排便を我慢しない
通常の排便は3分以内に済むので、それ以上かかる場合には無理に出そうとしないようにしましょう。また、排便を我慢すると便秘になりやすくなるので、便意が来たときはトイレに行くようにしましょう。
座りっぱなし立ちっぱなしを避ける
長時間座りっぱなし、立ちっぱなしの状態でいると、お尻のうっ血を促進してしまうため、こまめに姿勢を変えたり、脚のストレッチやマッサージをして血流を良くしましょう。
お尻を温めてリラックスする
体が冷えて血行不良になると、免疫力低下に繋がるため、なるべく湯船につかり体を温めましょう。お腹の冷えによる下痢や、心身の緊張による切れ痔の痛みの改善にも効果があります。

おわりに:排便を良くするために食生活の見直しを

痔の改善に効果がある食品として、乳酸菌、乳酸発酵食品、水溶性食物繊維、不溶性食物繊維、脂分などを多く含む食品が挙げられます。肛門出血を引き起こす主な原因は、排便がスムーズにできていないことにあるため、まずは食生活を改善することが大切です。

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