無排卵月経を治療しないと、妊娠する可能性はないの?

2018/9/9

前田 裕斗 先生

記事監修医師

前田 裕斗 先生

毎月の月経(出血)があるにもかかわらず、なぜか子供を授からず、ひそかに頭を悩ませている人はいませんか? もしかすると、その月経は無排卵月経かもしれません。ここでは、無排卵月経の原因と治療法についてご紹介します。

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無排卵月経だと、妊娠する可能性はないの?

無排卵月経とは、月経はあるものの、排卵の伴わない状態をいいます。月経の出血量が、いつもより少なかったり、もしくはダラダラと続くようなことがあれば、排卵のない周期かもしれません。あるいは、毎月の出血が実は月経ではなく、子宮や卵巣の病気による不正出血である可能性もあります。

ただし、無排卵月経は自覚症状がほとんどないため、見逃してしまうケースが少なくありません。したがって、毎月の月経はあるけど、周期や量がまちまちで、なかなか子供を授からないような場合には、この無排卵月経の可能性があります。無排卵月経の場合、妊娠に不可欠な排卵が起こっていないので、妊娠することができないのです。

もちろん、無排卵月経であっても、適切な治療を受けることで排卵が起きるようになれば妊娠することができるので、不安になりすぎないようにしてください。なかには無排卵月経であることを過度にストレスに感じ、そのストレスからホルモンバランスが乱れ、排卵が起こらないケースもみられます。したがって、月経周期や出血量の乱れで無排卵月経が疑われる場合は、まずは医療機関を受診して、自身の月経の状態を正確に把握し、その上で治療に専念することが大切です。

毎月月経があっても無排卵月経の可能性がある?

それでは、無排卵月経にはどのような特徴がみられるのでしょうか。以下、順を追って見ていきましょう。

月経周期の乱れ

無排卵月経の大きな特徴として、月経周期がバラバラであることが挙げられます。つまり、正常な月経周期が一般的に25日〜38日であるのに対し、無排卵月経の場合は、ひと月に何度も月経があったり、逆に数ヶ月に1度というように、極端に周期が長くなったりするのです。また、正常な月経の持続期間は3〜7日ですが、2日で終わったり、あるいは8日以上続くようであれば、何らかの異常が関係している可能性があります。

月経量の乱れ

出血量の乱れにも気をつけてください。出血量が極端に少なくナプキンに茶色のおりものがつく程度であったり、逆に出血量が多くレバーのような塊が混じることもあります。また、出血量が多い場合は無排卵月経だけでなく、子宮筋腫や子宮内膜症、子宮がん、ポリープなどが原因となる場合もあるので、特に注意が必要です。

無排卵月経は基礎体温でもわかる!

また、無排卵月経かどうかを見極める一つの手段として、基礎体温表があります。きちんと排卵が起きている場合には、排卵の前後で「低温期」と「高温期」の二層に分かれます。つまり、排卵のある正常な生理では、排卵が起こると基礎体温が上昇して「高温期」となるのです。これは、排卵を終えた卵胞が黄体という組織に変化し、黄体から分泌されるプロゲステロンという女性ホルモンの作用によるものです。

ところが無排卵月経の場合、のちに月経がきたとしても基礎体温が上昇することはなく、基礎体温表は「低温期」のままとなります。プロゲステロンの分泌が少ないので、基礎体温が上がりません。

まずは、しっかりと基礎体温表をつけることで排卵の有無を確認してみましょう。もし、基礎体温表が二層に分かれず、「低温期」が3か月以上続く場合は、すみやかに婦人科を受診してください。

無排卵月経かどうかを知るために、病院で検査を受けよう!

基礎体温表や月経の状態で、自分でも排卵の有無を予測することはできます。しかし、確実に無排卵月経か否かを調べるには、病院での検査が必要となります。無排卵の場合には早期の対処がポイントになるので、躊躇せずに婦人科を受診しましょう。

婦人科では、以下の2つの検査を行います。受診の際は、できれば過去3か月分程度の基礎体温表を持参すると良いかもしれません。

ホルモン検査
血液検査を行い、ホルモンの状態を確認します
超音波(エコー)検査
超音波で、卵巣や子宮の状態を調べます

これらの検査で無排卵月経だと判明し、かつ妊娠を希望する場合には、まずは一度黄体ホルモン製剤で月経周期をリセットし、自然に月経周期が整ってこないかどうかをみることが多いです。次にクロミッド®などの排卵誘発剤を使用し、人工的に排卵を促すことになります。排卵誘発剤は、種類によって効果も異なりますが、一般的に7〜8割ほどの排卵率といわれています。ただし、排卵誘発剤には多胎(双子など)になる確率が上がったり、そのほかにも副作用がみられるため、必ず医師と相談の上で使用を決めてください。

一方、今すぐの妊娠を望んでいない場合には、ピルを連続で使用してホルモンのサイクルを改善し、生理不順を正しく戻すという治療法もあります。そのほかにも、食生活や不規則な生活の見直し、あるいは女性の体質改善に有効な漢方薬の服用なども、無排卵月経の治療のひとつに挙げられます。いずれも医師の指導のもとで行うようにしましょう。

おわりに:正しい治療で無排卵月経を改善すれば、妊娠することができる!

無排卵月経の場合でも、すみやかな受診と治療によって、妊娠できる可能性はぐっと高まります。いつも自分の月経や体温の変化に気をくばり、「おかしい」と思うことがあれば、すぐに婦人科で相談してくださいね。

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