脳卒中の症状を特定するための診断や検査について

2017/3/29

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

脳卒中の疑いがある場合、脈や心拍数のチェックや血液検査、血圧測定といったごく一般的な検査のほかに、CTやMRIなどの専用の機器を使った画像診断も行われます。この診断により、脳の損傷部位やその程度を把握し、適切な治療を行うことができます。

脳の検査が必要な理由

明らかに脳卒中の症状が出ているとわかっても、脳の損傷部位や重症度を判定するために脳の検査を行うことは大切です。脳卒中には脳出血と脳梗塞がありますが、脳卒中の疑いのある人はすべて可能な限り速く脳の画像検査を受ける必要があります。

例えば特に発症から4時間半以内の脳梗塞であれば、t-PAを使った血栓溶解療法の適応がある可能性があります。また、脳出血であってもさらなる進行を抑えるために早急な対処が必要です。これが、脳卒中が医療上の緊急事態で、脳卒中の疑いがある場合にすぐ救急車を呼ぶべき理由です。

脳の画像検査の種類

脳をスキャンする方法として、以下の2つがあります。

CT検査

CT検査はMRIに比べて素早く施行でき、脳出血なのか脳梗塞なのか、その場所はどの程度で重症度がどの程度かを検査することができます。

磁気共鳴画像(MRI)

MRIは強力な磁場を使って体の詳細な画像を生成します。MRIはCTよりも時間がかかりますが、より詳細に様々な情報が得られます。また、脳梗塞であれば、CT検査でははっきりしないような小さい部位の脳梗塞も検出できます。

そのほかの検査

脳卒中の診断のために、脳のスキャンに加えて以下のような検査も行われます。

嚥下機能検査

脳卒中を発症した患者さんのうち多くは障害された脳の部位にもよりますが、嚥下障害が出現します。ですので食事を再開する前に嚥下機能を評価する必要があります。嚥下障害があると飲食物が気道や肺に入り込む(誤嚥)リスクが高くなり、肺炎を引き起こす可能性があるためです。

検査は、X線透視下で専用の食事(嚥下検査食)を飲み込んでもらい透視画像で嚥下状態を確認する嚥下造影検査や、鼻咽頭喉頭ファイバーで直視下で嚥下状態を見る嚥下内視鏡検査などがあります。

飲み込むのが難しい場合は言語療法士の紹介を受け、適切な指導を受けながらリハビリします。多くの場合、言語療法士の指導があるまで患者は飲食することはできません。このため、食べ物は、鼻を介して胃の中に挿入されたチューブを通して直接投与する必要があります。

心血管検査

脳梗塞の原因を確認するために、心臓と血管の検査を行うことがあります。なぜなら頚部の血管壁にあるプラークが脳の血管を詰まらせたり、心臓内の小さい血栓が同じく脳の血管を詰まらせることが多いためです。実施可能な検査として、以下のようなものがあります。

<頚動脈エコー検査>
頸動脈エコー検査は、脳につながる頸動脈に狭窄や閉塞があるかどうかを調べるのに役立ちます。超音波エコーを使い、高周波で頸部の血管の状態を画像化します。

<心エコー検査>
同じく超音波エコーにより心臓を観察し、血栓など脳梗塞の原因になるものがないかをチェックする検査です。

おわりに:脳卒中の疑いがあれば

脳卒中の治療には一刻の猶予もないため、もしその疑いがある人がそばにいたらすぐに救急車を呼んでください。また、病院に到着するとさまざまな検査を行うため不安になるかもしれませんが、どの検査も損傷の部位を特定し的確に治療するために必要なものですので、落ち着いて対応してください。

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