脳卒中の予防に必要な5つの生活習慣と脳ドックの重要性とは!?

2017/3/29 記事改定日: 2018/6/12
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

脳卒中には、脳の血管が詰まる脳梗塞と、脳の血管が出血する脳出血の2種類があります。どちらも予防のためには生活習慣の改善が必要といわれていますが、その理由をご存知でしょうか。
この記事では、脳卒中の予防方法について詳しく解説しています。

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脳卒中の予防は動脈硬化を防ぐこと!

脳卒中は、脳の血管に動脈硬化が起こって、血管の内側が狭くなったり、柔軟性を失うことで発症することが多いとされています。このため、脳卒中の予防には動脈硬化を防ぐことが必要となります。

動脈硬化は肥満や糖尿病、高脂血症などの生活習慣病や喫煙などが原因で引き起こされるものであり、暴飲暴食や過度な飲酒、喫煙などの生活習慣を改善することが予防につながります。
動脈硬化には自覚症状はなく、知らず知らずの内に進行してある日突然脳卒中を発症することも少なくありません。このため、これらの生活習慣で思い当たるものがある人は、自身の生活を見つめなおし、改善するように努力しましょう。

脳卒中を予防するための生活スタイル ― 5つの習慣を取り入れよう!

脳卒中を予防するいちばんの方法は、健康的な食生活や定期的な運動をすること、そして過度な飲酒や喫煙を控えることです。

生活スタイルを見直すことでアテローム性動脈硬化症や高血圧、コレステロール値の上昇も予防することができます。また、すでに脳卒中を発症している人も下記のような習慣を日常生活に取り入れることで、再発のリスクを下げることができます。

健康的な食事

脂肪分や糖分などを多く含む食事ばかり食べ続けると、血圧やコレステロール値が高くなるるリスクが上がります。これが脳卒中の発症リスクを高める要因につながります。このようなリスクを下げるためには新鮮な果物や野菜など、低脂肪で食物繊維を多く含む食べ物を中心とする食生活に切り替えることがおすすめです。

また、食事のバランスを保つことも大切です。特定の食品ばかり食べたり塩分を多く含む加工食品はなるべく控えてください。特に、塩分が多すぎると血圧が上がるため、1日あたりに摂取する塩分は6g以下(小さじ1杯)に抑えましょう。

適度な運動

健康的な食事とともに定期的な運動を行うと、健康的な体重を維持することに役立ちます。定期的な運動はまた、血圧やコレステロール値を下げる効果もあります。

早歩きやサイクリングといった有酸素活動を毎週2時間30分ぐらいを目安に行いましょう。
このような運動はすべての人に推奨されていますが、すでに脳卒中を患ったことがある人で体に後遺症が残っている場合は、医師やリハビリ担当のスタッフと運動計画を立てる必要があります。

脳卒中を発症後、数週間から数カ月は運動は難しいかもしれませんが、リハビリに取り組んで体が動くようになってくると少しずつ運動できるようになります。

禁煙

タバコは脳卒中のリスクを高めます。喫煙により動脈が狭くなったり、血液を凝固させたりする可能性が高いからです。

禁煙すると脳卒中のリスクを減らすことができるだけでなく、肺がんや心臓病といった深刻な病気が発症するリスクも小さくなります。

飲酒量を控える

大量の飲酒は高血圧を引き起こすだけでなく、心房細動(心拍数が不規則になる状態)を招きます(大量に飲酒すると、脳卒中のリスクを3倍以上高めると言われています)。

高血圧も心房細動も、脳卒中のリスクを高める要因につながります。またアルコールはカロリーが高いため、体重増加の要因にもなります。

脳卒中から完全に回復した人がお酒を飲む場合、推奨されている上限を超えないことが大切です。
1週間あたりに飲んでよいお酒の量は、男女とも14単位までとされています(1単位は純アルコールに換算して20g)。もし習慣的に14単位以上飲んでいる場合は飲まない日を週に3日以上設けてください。また脳卒中から完全に回復していない場合は極力控えましょう。

血圧や血糖値を記録する

高血圧や糖尿病の人など脳卒中のリスクを高めるといわれている疾患を持っている場合、日々の血圧や血糖値を記録し、体調維持に役立てることが大切です。日々の健康状態を把握しておくと脳卒中の予防につながります。

脳ドックや定期健診で、健康状態を管理することも忘れずに!

脳卒中は多くは生活習慣病が原因となるため、定期検診などで自身の健康状態を把握し、生活習慣改善に努めることが重要です。
また、脳梗塞の中でも不整脈によって大きな血栓が脳の血管を詰まらせる心原性脳梗塞は死亡率が高く、救命できたとしても脳の広範囲にダメージを与えるため、重篤な後遺症を遺します。しかし、心原性脳梗塞は不整脈が判明した段階で適切な予防薬の服用を続けることで発症を大幅に抑えることができます。このため、不整脈の有無を調べるためにも定期的な健診で心電図検査を行うことは予防のために非常に有効といえるでしょう。

また、40歳以降では脳卒中の発症率が上昇しますので、脳ドックなどを受けて自身の血管や脳の状態を把握しておくことも大切です。

脳ドック

脳ドックとは、脳や脳の血管に特化した健康診断の一種です。
実施する医療機関によって異なりますが、一般的にはMRIで脳の異常を確認し、MRAと呼ばれる脳や首の血管を立体的に描出する画像撮影されます。これによって、気づかない内に生じていた脳梗塞の痕や血管の詰まりや動脈瘤の有無などを調べることが可能です。
また、医療機関によっては、首の血管を精密に調べるための超音波検査や心電図、血液検査が行われることもあります。
費用は、医療機関によって異なりますが、自費での検診となりますので3~5万円が相場となります。費用に関しては事前に受ける予定の機関に確認しておくとよいでしょう。

おわりに:脳卒中の予防は生活習慣の改善が重要!定期健診や脳ドックも忘れずに

上記のようなライフスタイルの変化は脳卒中のリスクを下げるのに役立ちますので、できるところから少しずつでもかまわないので取り入れていくようにしてください。
気になる症状があった場合に医師の診断を受けることはもちろんですが、定期健診や脳ドックで自分自身の健康状態を管理することも忘れないようにしましょう。

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