記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2024/8/21
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
飲食物がうまく飲み込めなくなる嚥下障害になった場合、食事するときに気をつけることがあります。この記事では、嚥下障害の人が食事するときに気をつけることについて、水分補給のポイントと介助の際の注意点もあわせて解説していきます。
「嚥下障害(えんげしょうがい)」とは、飲食物を飲み込みにくくなる障害です。食べにくさから低栄養状態になる場合があり、飲食物が誤って気管に入ってしまい誤嚥(ごえん)性肺炎を引き起こし、命に危険が及ぶこともあります。
誤嚥障害のある人が食事を摂るときは、できるだけ正しい姿勢を保つことが大切です。自力で座れる場合は、深く腰掛けた状態で足が床につく高さの椅子に、膝が直角に曲る位置に座ってもらいましょう。テーブルの高さは、椅子に座ったときに軽い前傾姿勢で肘が直角になるように乗せられる高さを目安にすることをおすすめします。リクライニング車椅子やベッドなどであれば、腰はリクライニング部分に沿うようにし本人の希望に合わせながら45~80°くらいに保ちましょう。
あごは、気管が開かないよううつむいた状態で、あごの下に指が3本入るくらいの角度にします。必要に応じてクッションなどで首や背中を安定させましょう。安全な姿勢を確保したうえでエプロンをかけ、介護者は同じ目線で介助できるように横に座ってください。
人により程度は異なるものの、嚥下障害のある人にとって、サラサラとした水分は気道に落ちやすいため誤嚥のリスクが高く、ベタベタしたものやパサパサしたもの、硬いものなどは食べにくいといわれています。水分の誤嚥を避けるには、口や喉でまとまりがよくゆっくりと流れるように、水に「とろみ」を付けること(半固形化)が重要となります。ただしとろみを付けすぎてべたべたしてしまうと、かえって誤嚥のリスクが高まる場合があります。
現在では多様なとろみ剤(半固形化剤)が市販されているので、病院に相談しながら、適したとろみ剤ととろみの付け方を見つけるようにしてください。とろみを付けても飲み込みづらい場合は、ゼリー状のもので水分補給しましょう。食事は1日3回がベストですが、一度にたくさん食べられなければ10時、15時にも水分と栄養を補給します。食欲を維持してもらうために、栄養に神経質になり過ぎないようにし、好きなものを食べてもらうようにすることも大切です。
水分は前傾姿勢で補給するようにし、自然な流れ込みにまかせず意識して飲み込んでもらうようにしましょう。急がせることなく、飲み込みを確認しながら主食・副食・水分を交互にティースプーンに軽く一杯分くらいずつ食べてもらうようにしてください。口に含める量や補給のタイミングも大切になってきます。飲む人の口元を見ながらゆっくりと少しずつ流し込み、咽喉が動くのを見たら止める、という感じでタイミングを図りながら介助するようにしてください。
人が1日に必要とする水分量は約2000mL、そのうち半分は水などの液体で補給する必要があるので、1日5回を目安にすると良いでしょう。嚥下障害が進み液状の水分がとれなくなった場合には、とろみをつけるかゼリー状のもので対応しましょう。
嚥下障害の人の食事では、誤嚥に気をつけてうつむき加減にしてもらい、急がず飲み込む様子を確認しながら介助するのが基本です。また、水分の多いものは気管に流れ込みやすいため、とろみ付きのものやゼリー状のもので水分補給するようにしましょう。できる対策をしっかり行い、誤嚥を防いでください。
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