記事監修医師
工藤内科 副院長 工藤孝文先生のスマホ診療できるダイエット外来
工藤 孝文 先生
慢性的な便秘の原因としては、水分不足や運動不足、食生活の乱れなどさまざまなものが考えられますが、さらに突き詰めると「腸内フローラの乱れ」が根本的な原因として考えられます。以降では便秘と腸内フローラの関連性や、便秘解消法などについてご紹介していきます。
まず腸内フローラとは、私たちの腸内に住んでいる細菌が、花畑のように集合体をつくっている様相を指す言葉です。人間の腸にはおよそ1000兆もの腸内細菌が存在しているといわれ、これらの腸内細菌は「善玉菌」「悪玉菌」「日和見菌」の3種類に分けられます。それぞれの菌には、以下のような作用があります。
これらの菌のバランスは、健康な人の場合「善玉菌:悪玉菌:日和見菌=2:1:7」とされています。しかし、食生活の乱れや不規則な生活、加齢、抗生物質の服用などによって悪玉菌が増殖すると、日和見菌も加勢することで善玉菌の作用が弱くなり、腸内環境が悪化。そしてこれまで善玉菌が支えてくれていた腸の蠕動運動が低下し、排便がスムーズにできなくなることで、便秘がちになってしまうのです。
下記の項目に当てはまる数が多ければ多いほど、腸内で悪玉菌が優勢の可能性が高いです。
悪玉菌がつくった有害物質は腸管の皮膚から吸収され、血管から全身に運ばれるため、疲労感などの全身症状を引き起こします。さらに、腸と肌の調子は関連しており、腸内環境が悪化すると吹き出物ができやすくなるともいわれています。
便秘が腸内フローラの乱れから来ている可能性が高い場合は、腸内で善玉菌が優勢になるよう、できる対策をとっていく必要があります。具体的には、以下の方法が有効です。
善玉菌の好物は、食物繊維やオリゴ糖です。善玉菌が活性化するよう、食物繊維を多く含む野菜や大豆製品、海藻類、オリゴ糖を多く含む玉ねぎやバナナなどの食べ物を積極的に摂取しましょう。
ヨーグルトや納豆、漬物などの発酵食品には、善玉菌の一種・乳酸菌が豊富に含まれています。これらの食べ物を継続的に摂取し、善玉菌の数を増やすようにすることも大切です。なお、乳酸菌は一度取り込んでもずっと住み着いてくれるわけではなく、便とともに排出されてしまうので、毎日摂取するようにしましょう。
冒頭でお伝えしたとおり、悪玉菌はタンパク質を餌とします。そのため、お肉ばかり食べていると悪玉菌が増えやすくなり、腸内環境が悪化して便秘になりやすくなります。
腸内フローラを改善するには食生活の改善が重要ですが、同時に適度な運動を取り入れることも大切です。腹部の筋トレや有酸素運動、ストレッチなどは腸の蠕動運動を活性化し、また血流が促進され老廃物が排出されやすくなるため、便秘解消につながります。
便秘だけでなく肌荒れ、疲労感など別の症状も併発している場合は、腸内フローラが乱れているサインかもしれません。ご紹介した対策をしっかり行って、便秘などの不快症状を解消していきましょう。
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