記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/9/12 記事改定日: 2019/6/27
記事改定回数:1回
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MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
海外旅行先でかかる恐れのある病気として、マラリアという感染症は広く知られています。
しかし、具体的な症状や予防方法を理解している人は、少ないのではないでしょうか。
今回はマラリアという病気について、症状の特徴や感染予防の方法、また感染したときの適切な対処方法までご紹介していきます。
マラリアは、プラスモディウム属のマラリア原虫が原因で起こる感染症の一種で、マラリア原虫を媒介する蚊に刺されることで感染・発症します。
現時点では蚊を媒介した感染のみで、ヒトからヒトへの感染はありません。
マラリア原虫の種類ごとに「熱帯熱マラリア」「三日熱マラリア」「四日熱マラリア」「卵形マラリア」の4つに分類されます。
4つのマラリアのうち、特に危険とされるのが熱帯熱マラリアで、発症してから24時間以内に治療を行わないと重篤化し、脳症、腎症、肺水腫、出血、重症貧血などの合併症を引き起こすことがあります。
マラリアは感染から10日程度の潜伏期間を経て発症し、以下のような症状が出ます。
マラリアの症状はインフルエンザによく似ていますが、発熱や各症状が48時間または72時間ごとの周期的に現れるのが大きな特徴です。
ただし、熱帯熱マラリアは発熱に周期性がなく、高熱が続くケースも報告されています。
なお、症状が進行して重症化してくると貧血や黄疸の症状が出て、さらに進むと臓器の腫れや脳症といった重度の合併症が現れ、命の危機に陥ります。
辛い症状や命の危機を回避するために、マラリアを予防する方法はいくつかあります。
マラリアにはワクチンがないため、現時点で最も有効なマラリアの予防方法は「虫よけスプレーの使用」と「予防内服薬の服用」の2パターンです。
日本製よりも蚊よけの有効成分濃度が高い、海外製の「DEET」という虫よけスプレー・ローションが効果的といわれています。
製品や、有効成分の濃度によってもマラリア対策として適切な使用方法は異なりますので、あらかじめ効果的な使用方法をよく確認してから、自分に合うものを選びましょう。
マラリアが流行しやすい地域の薬局では、感染リスクのある1~2日前から4週間後まで飲み続けることで、マラリアを予防できる内服薬が販売されています。
マラリア予防薬の服用には以下のような注意点や副作用もありますが、マラリアの感染予防には非常に有効とされています。
ただし、妊婦や小児の服用には制限があるため、医師や薬剤師への相談が必要です。
なお、マラリア流行地や海外では「ビブラマイシン®(ドキシサイクリン)」、日本では「メファキン®(メフロキン)」が販売されていますが、基本的に自費購入となります。
マラリアを予防するには、蚊に刺されないことが何よりも大切です。
一般的に虫よけ薬による対策が講じられていますが、以下のような対策も合わせて行っていきましょう。
流行地の滞在中や帰国後、流行地に入った日から数えて7日目以降にマラリアを疑うような症状が出たときは、すぐに医療機関に相談してください。
その際、医師にきちんと「直近で流行地への渡航歴があり、マラリアの可能性がある」と伝えることが、速やかな正しい診断・治療の実施につながります。
また、日本ではなく海外で病院にかかる可能性もありますので、渡航前に流行地や滞在先の医療事情について調べておき、マラリアに対応した機関を把握しておきましょう。
もしマラリアに感染・発症していても、早期に適切な治療を受ければ順調に回復するケースがほとんどですので、医師に正直に申告して治療を受けてくださいね。
マラリア原虫をもつ蚊に刺されることで感染・発症するマラリアは、世界中の亜熱帯・熱帯地方で流行している感染症です。その症状はインフルエンザに似ていますが、症状を周期的に繰り返すのが大きな特徴です。
虫刺されを防いだり、事前に内服薬を飲むことである程度予防はできますが、発症したら速やかに治療する必要があります。マラリア流行地に行く予定があるなら、事前に予防策や発症後の対処を必ず知っておきましょう。
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