記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/9/12 記事改定日: 2020/6/8
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
おならが多いときや臭いが気になるとき、これは大腸がんなどの病気のサインなのでしょうか?この記事ではおならの回数や臭いが変化する理由を解説します。併せて大腸がんのサインや検査方法の種類も紹介します。
おならの回数が多くなるのには、以下のような原因があります。
食物繊維を多く含む食品(豆類、イモ類など)を食べると、腸内ガスの発生が促進されるため、必然的におならの回数が増えます。しかし、これは健康上問題はありません。あまり気にし過ぎたり心配する必要はありません。
肉や臭いの強い食品は、腸内細菌により分解された後、アンモニア、インドール、硫化水素などの刺激臭を放つものが多く発生するため、食べ過ぎると臭いの強いおならの原因になります。
便秘になると腸内に便やガスが溜まり、その溜まったガスを排出するためにおならの回数が増えます。また、長期間腸内に停留していたガスは発酵が進んでいるため、臭いが強いおならになります。
緊張やストレスなどを感じた際に、唾を飲み込むことが多くなることがあります。その際に空気も同時に飲み込むことで、腸内にガスが溜まりおならの原因となることがあります。
腸にガスが溜まりやすくなる慢性胃炎や過敏性腸症候群になると、おならが発生しやすくなります。また、大腸がんの進行に伴い便秘がちになることで、おならが多く発生するようになります。
大腸がんの初期の状態では、検査を受ければわかる程度の血便が見られるくらいで、目立った症状はあらわれません。しかし、病態が進行するにつれて大腸が狭まって便秘がちになり、弱い音のおならが出ることがあります。
ただ、がんの発生場所や程度により症状は異なり、良性疾患の場合でもがんと類似した症状が見られることがあります。
盲腸がんや上行結腸がんの場合は、肛門から離れた場所にあるため血便によって発見されることは少なく、貧血症状によってはじめて異常に気付くケースもあります。
がんが進行した状態で起こる、腸閉塞症状(嘔吐など)、大腸がんが転移して肺や肝臓の腫瘤により発見されるケースもあります。
上記の特徴が排便時に見られる場合は、痔ではなく、がんに伴う血便である可能性が高くなります。特に、がんの中心が潰瘍となり出血が起こると血便が頻繁に起こります。
大腸がんの検査では、主に便潜血検査と大腸内視鏡検査が行われます。
大腸がんは、初期の状態で発見すれば高い確率で治癒することができます。しかし、病態が進行するまでは目立った症状が現れないため、検便(便に血液が含まれていないか調べる検査)を行って無症状の時期に発見できるよう努める必要があります。
おなら、下痢、便秘などの症状が持続している場合は、大腸がん検診で検便を行い、がんの有無を調べましょう。なお、大腸がんやポリープなどがある場合は、便が腸内を通過する際に便と組織が擦れることにより、便に血液が付着するとされています。
また、便潜血検査では目視できないわずかな出血を調べることが可能で、検査を受けることにより死亡率が低下することがわかっています。
便潜血検査の結果が陽性と診断された場合は、必ず大腸内視鏡検査と呼ばれる大腸の精密検査を受けましょう。
大腸内視鏡検査を2年ごとに受けることで、大腸がんの早期発見や予防に繋がるとされています。
便潜血検査は、初期の状態の大腸がんやポリープに対しての感度が低いとされています。そのため、便潜血検査で陰性と診断された場合でも内視鏡検査でポリープや早期がんが見つかることも少なくありません。
種々の検査の結果、大腸がんと確定診断された場合は、治療方針を決めるための検査が行われます。
まず、大腸がんは大腸の内部に盛り上がりを形成するように大きくなるため、狭窄や閉塞を引き起こすことがあります。そのため、大腸がどの程度狭くなっているか確認するために肛門から造影剤を注入して流れを確認する「注腸造影検査」が行われます。
また、大腸がんは肝臓、肺、脳など様々な部位に転移を起こしやすいため、転移の有無を確認するためにCT、MRI、PETなどによる画像検査が行われます。特にPET検査はごく小さな転移を発見することもできるため、近年では広く行われるようになっています。
なお、検査の進め方や順序は医療機関によって異なりますので、担当医の指示に従って適切な検査を受けるようにしましょう。
大腸がんは病態が進行するまでは目立った症状があらわれないため、検便を行って無症状の時期に発見できるよう努める必要があります。そのため、おならだけでなく、下痢、便秘などの症状が持続している場合は、大腸がん検診で検便を行い、がんの有無を調べましょう。
この記事の続きはこちら