記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/9/18
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
腎機能の異常などによって尿タンパクが多量に出て、体にさまざまな不調が起こるようになる「ネフローゼ症候群」。このネフローゼ症候群は、完治する病気なのでしょうか。また再発を予防するには、どんなことに気をつければいいのでしょうか。
ネフローゼ症候群は、尿タンパクが多量に出ることで血液中のタンパクが減り、体にいろいろな不調が出てしまう病気です。主にむくみや体重増加、尿の泡だちなどの症状がでます。長期的に症状が続いてしまうと、透析が必要になる場合もあります。
また、ネフローゼ症候群の中にも種類があり、明らかな原因がないものを一次性ネフローゼ症候群、糖尿病などの全身性疾患が原因のものを二次性ネフローゼ症候群といいます。このタイプの違いによって、治療方法や完治までの見込みなどが異なるでしょう。
一般的に一次性ネフローゼ症候群は、比較的完治が見込めるものだといわれています。たとえば、一次性ネフローゼの中でも微小変化型ネフローゼ症候群と呼ばれるものに小さい子供が罹患した場合などは、比較的治りやすいとされています。治療の際は、主にステロイド薬や免疫抑制薬などを使用しますが、このケースであれば、半年から1年ほどの治療でこのステロイド薬が不要になることもあるでしょう。その一方で、再発しやすいという問題もあるため注意が必要です。
一方、膜性腎症や巣状分節性糸球体硬化症など別の病型の場合は、2年以上ステロイド薬や免疫抑制薬を服用し続ける必要があることが多いでしょう。しかし、数年にわたって治療を続ければステロイド薬を飲まなくていいところまでは回復が見込める場合もあります。治療中は、薬による合併症や感染症の予防がとても大切です。
ネフローゼ症候群は、薬の服用によって、寛解ともよばれる一旦は落ち着いた状態になります。そうすると生活に大きな制限はなくなりますが、再発しやすいという特徴もあるため、引き続き状態には気を配らなければいけません。
ネフローゼ症候群は診断・治療が早いほど完治しやすい病気なので、定期健診で行われる尿検査で、タンパクが検出されるかどうかに注意する必要があるでしょう。また、血尿がみられた場合もIgA腎症などが疑われる場合があります。IgA腎症などの慢性腎炎は、悪化するとまたネフローゼ症候群につながる危険性があるのです。尿検査は尋常の状態を知る大切な検査なので、異常があったら、すぐに医師の診察を受けてください。
また、普段から取り組めるアプローチとしては食事による塩分摂取の制限です。塩分をとりすぎるとむくみがひどくなるため、ネフローゼ症候群の人は1日の塩分を食塩で6g以下に制限することが望ましいとされています。たとえ一旦落ちついた状態であっても、減塩を心がけた方がよいでしょう。同時にタンパク質の摂りすぎも、タンパク尿の原因になるため気をつけた方がよさそうです。
ネフローゼ症候群は、腎臓の炎症・機能の異常によって起こります。尿タンパクが多量に出ることで血液中のタンパクが減り、体にいろいろな不調が起こる病気です。病気のタイプや患者の年齢によっては、半年から1年ほど薬の服用を続ければ症状がおさまる場合もありますが、2年以上の治療が必要な場合もあります。また、一旦症状が落ち着いた後も、健康診断をしっかり受け、尿検査に異常があったら病院に行くことや、塩分・タンパク質の摂りすぎに注意することなどが必要です。
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