手首に起こる腱鞘炎、ドケルバン病ってどんな病気?

2018/9/13

山本 康博 先生

記事監修医師

東大医学部卒、独立行政法人国立病院機構東京医療センター

山本 康博 先生

手首の親指側で腱鞘炎が起こる「ドケルバン病」をご存知ですか?症状や原因、痛みを和らげる方法など、全般的な情報について解説していきます。

手首の腱鞘炎、ドケルバン病とは

腱とは手や指を動かす時に筋肉と連動して動くヒモのようなもので、腱鞘とはその腱が動くときに骨から離れないような働きをするサヤのことです。
しかし、指や手首の曲げ伸ばしを頻繁にし過ぎると、腱と腱鞘が擦れ合うことにより炎症が起こることがあり、やがてその部分に腫れる、動かしにくくなる、痛むなどの症状が現れるようになります。

ドケルバン腱鞘炎とは、短母指伸筋腱と呼ばれる親指を伸ばす腱に起こる腱鞘炎のことで、親指側の手前が痛むことにより、親指の曲げ伸ばしがしづらくなります

一般の主婦の人や、育児や赤ちゃんのお世話などで、親指に負担のかかる出産後まもない女性、手首を頻繁に使用するテニスや野球などのスポーツをする人が起こしやすいとされています。とくに、パソコン業務でキーボードやマウスに長時間手をのせている人も、手首を少し反らせた状態が続くため、手首の腱鞘に負担がかかり発症しやすいです。

なお、ドケルバン病では手首の痛みだけでなく、肘に痛みが出ることもあります。

ドケルバン病を発症する仕組みは?

親指には、「短母指伸筋腱」と呼ばれる親指の第2関節を伸ばす働きのある腱と、「長母指外転筋腱」と呼ばれる親指を広げる働きのある腱があり、これらは手首の親指側にある腱鞘の中を通っています。しかし、手や指を頻繁に使用することによって「手背第一コンパートメント」というところにある腱鞘に炎症が起きると、腱鞘が腫れて痛みや動かしにくさを感じるようになります。さらに手や指を使うことで炎症がひどくなることで、症状はどんどん悪化していきます。

ドケルバン病の痛みがおさまらないときは?

ドケルバン病の痛みがおさまらないときは、病院での治療が必要です。薬物治療などの保存療法を中心に治療が進められます。

保存療法ではまず、痛みのある方の手の使用を控えて安静にさせることが大切になります。
症状が現れてまだ日が経っていない場合は、親指を開いた状態で保持させる固定具を2~3週間程度装着することがあります。また、消炎鎮静剤も併用されます。

強い症状が見られる場合は、ステロイドの懸濁液に麻酔薬を配合したものを腱鞘内に注射して様子をみることがあります。
この治療では患者の9割以上に症状の寛解が得られるとされていますが、頻繁に行うと腱断裂や皮膚が薄くなる(ステロイドの副作用)などの合併症が起こるリスクがあるため、一般的には短期間で繰り返し行うことはしません。

手術療法の流れ

保存療法で症状の改善が見られない場合は、局部麻酔による日帰り手術を行う必要があります。手背第一コンパートメントを2cmほど切開して狭窄を除去する手術で、基本的には抜糸を行うまで7~10程度の時間を要します。
まれに術後の合併症として、近くを通る知覚神経の損傷によるしびれが残ることがあります。

日常生活でできる、痛みを和らげる方法は?

腱鞘炎は、スマホやパソコンの長時間使用、親指に負担のかかるスポーツ、生まれつき腱鞘が狭い特徴がある、ホルモンバランスの変動、キーボードの打ち過ぎ(パソコンなど)、親指を使用する指圧マッサージ、ピアノでオクターブを弾く際に親指を広げること、など様々なことが誘因となり発症するため、日頃から親指を頻繁に使用する習慣がある人は注意しましょう。

症状が軽い場合は、アイシングや消炎鎮痛薬、湿布薬の使用で改善する可能性がありますが、重症の場合はステロイド注射や手術が必要になる場合があります。

まずは親指に負担をかけないようにすることが最も重要です。スマートフォンの操作を行う際は親指だけでなく両手で行うようにするなど、日頃から親指への負担を減らすようにしましょう。

おわりに:普段から親指に負担をかけないように注意を

ドケルバン腱鞘炎とは、短母指伸筋腱と呼ばれる親指を伸ばす腱に起こる腱鞘炎のことで、親指の曲げ伸ばしがしずらくなります。痛みを和らげるためには親指に負担をかけないようにすることが最も重要なため、日頃から親指への負担を減らすことが大切です。治療では保存療法が基本となりますが、病態に応じてステロイドを使用したり、手術療法を行う場合があります。気になる症状がある場合は医療機関を受診しましょう。

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