記事監修医師
前田 裕斗 先生
2018/9/28
記事監修医師
前田 裕斗 先生
疲れを感じたり気分をリフレッシュしたいときには、おやつが欲しくなりますよね。体に次々と変化が起こる妊娠中の女性も、甘味が恋しくなることがあるでしょう。ですが「妊娠糖尿病」と診断されたら、おやつの食べ方には注意が必要なのを知っていましたか?
妊娠中の女性の体ではホルモンに変化が生じますが、血糖の調節をするインスリンの働きが抑えられてしまい、血糖値が高い状態が続く「妊娠血糖病」を発症することがあります。
甘い食べ物や飲み物、主食となる食べ物(ごはん、パン、麺類)は糖質を多く含み、血糖値を上げやすい食品です。妊娠血糖病と診断されたら糖質を多く含む食品はなるべく控えることが望ましく、食事療法で血糖値をコントロールしながら症状の悪化を防ぎます。妊娠血糖病は合併症を引き起こす可能性があり、母体のみならず胎児や新生児に以下のような影響を与えるおそれがあります。
生まれてくる赤ちゃんのためにもおやつは控えるのがよいですが、食事からいきなり糖質を抜くのはおすすめできません。糖質は大切な栄養素であり、丁度いいおやつの取り方をすればストレス解消の効果も期待されるからです。食事療法のポイントは量と質を考えておやつを選ぶことです。
量の目安は一日当たり80~160kcal、多くても200kcalが限度です。ただし朝・昼・夕の食事はバランスよくきちんと食べましょう。おやつを食べるために食事を抜くのはNGです。食べる量をあらかじめ決めておき、だらだら食いやつい手がのびてしまうということを避けるようにしてください。
質の面では、栄養のバランスを意識します。体にいいものをおやつに選ぶようにしたり、おやつを食べるときには特定の栄養素を一緒に摂取するようにしましょう。
洋菓子は糖質とカロリーがともに高く脂肪分も多く含まれているので、妊娠糖尿病の方は避けるのが安心ですが、どうしても食べたい場合は糖質の低いものを選んだり、食べる頻度を極力少なくしてください。
おやつには糖質のほか塩分が多く含まれていることがあります。塩分過多は妊娠高血圧にも一般的によくないとされています。スナック菓子や揚げ物の塩分量には注意します。
おやつを食べるときには量と質、それから時間にも気をつけます。おやつを食べるなら活動量が増えていく午前中~お昼の間がおすすめです。就寝前のおやつは就寝中だけでなく翌朝の血糖値にも影響を与え、肥満を引き起こします。
おやつは食事の後にデザートとして食べるのがよいでしょう。野菜など繊維質を食べたあとなら血糖値の上昇が穏やかですし、すでにお腹に食べ物が入っているため少量のおやつで満足できます。
おやつは食事で不足しがちな栄養素の補給になったり、幸せな気分をもたらしてくれる大切なものです。妊娠糖尿病の方は食べる量・質・時間をきちんと守り、健康的に味わっていきましょう。
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