妊娠糖尿病を予防するには、どんなことに気をつけたら良い?

2017/12/19

山本 康博 先生

記事監修医師

東大医学部卒、独立行政法人国立病院機構東京医療センター

山本 康博 先生

胎児の流産や早産、また先天性異常などを引き起こす恐れがある「妊娠糖尿病」。この妊娠糖尿病を防ぐには、どうすればいいのでしょうか?注意すべきポイントをご紹介します。

妊娠糖尿病はどんな病気?

妊娠糖尿病とは、妊娠中に血糖値が高い状態で注意が必要な糖代謝異常のことを言います。特に妊娠中は胎盤で血糖値を上げやすいホルモンが分泌されるため、妊娠中期を過ぎるとインスリンが効きにくい状態となり、血糖値が上がりやすくなってしまう特徴があります。

通常、妊娠中期以降はすい臓がインスリンを多く分泌して血糖値を上げないよう調整をするのですが、すい臓から必要な量のインスリンを分泌することができなかったり、インスリンの働きの悪い体質だったりすると、血糖値が上昇してしまい妊娠糖尿病となってしまうのです。この膵臓からのインスリン分泌が出来ない状態やインスリンの働きの悪い状態を糖代謝異常と言います。検査をして初めて妊娠糖尿病と分かる場合も多く、妊娠糖尿病の検査は妊娠初期から行われます。

特に妊娠後期になると高血糖になる場合があり、一定の基準値を超えることによって妊娠糖尿病と診断をされます。妊娠中に発症したり発見した糖尿病に比べると軽度ですが、赤ちゃんや母体に悪影響を及ぼすので注意が必要です。

赤ちゃんと母体にはどんな影響が出るの?

妊娠糖尿病がいくら糖尿病に比べて軽度と言っても、赤ちゃんと母体には命に関わる重大な影響を及ぼします。母体への影響として考えられるのは、妊娠高血圧症候群や羊水過多、帝王切開率の上昇、膀胱炎などの合併症、そして早産や流産を引き起こすこともあります。

また、妊娠糖尿病となってしまうと、赤ちゃんも合併症を起こすことがあります。まず巨大児になるリスクが高くなり、巨大児になると出産時に帝王切開になる確率がぐんと上がります。また、出産の際に赤ちゃんの肩が引っかかって難産になる肩甲難産を引き起こすこともあります。新生児低血糖をはじめとする新生児の異常、小児期から成人の肥満、そして最悪の場合、子宮内胎児死亡を引き起こすこともあります。

それくらい、母体にも赤ちゃんにとっても妊娠糖尿病はとても怖い病気なのです。そのため、早期発見・治療を行うことで、母体や赤ちゃんへの合併症のリスクを防ぐことが重要になります。

妊娠糖尿病は予防できるの?

妊娠糖尿病を完全に予防するのは難しいことです。というのも、妊娠糖尿病になりやすい人の特徴として、家族に糖尿病がいる人、35歳以上の高齢出産の人、以前に大きな赤ちゃんを産んだことがある人、原因不明の死産や流産・早産の経験がある人、羊水過多の人といった自分ではどうしようもできないことが挙げられるためです。

ただ、その一方で肥満や妊娠高血圧症候群の人も妊娠糖尿病になりやすいと言われています。この場合には、食事に気を遣って適度な運動を行うことで予防をすることができます。特にカロリーオーバーや甘いお菓子をはじめとする糖質の摂りすぎにならないようにしましょう。食事は和食中心でバランスの良い内容を食べ過ぎない程度に摂取することがポイントです。甘い物を食べ過ぎないことに加えて、塩分の過剰摂取も気を付けなければいけません。

なお、運動は意気込んでやらなければと負担に思うことはありません。普段の家事や散歩など無理なく生活に取り入れましょう。そして良質な睡眠もとても重要なことです。つまり規則正しい生活が糖尿病予防につながります。

おわりに:生活習慣の改善で発症を防げるケースも

妊娠糖尿病は年齢や家族歴などによって発症リスクが高い人もいるので、完全に予防する方法はありません。ただし、肥満や高血圧などの生活習慣の問題が発症の原因となることもあるので、日頃から食事や運動量に気をつけることで、ある程度発症率を下げる効果はあります。まずはできるところから改善しえいきましょう。

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