記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/9/25
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
世間では糖尿病の危険性が訴えられているため、多くの方は「血糖値が高いのは危険」というイメージをお持ちかと思います。もちろんこれは正しいのですが、実は「血糖値が低くなりすぎることも危険」なのです。
今回は低血糖のリスクをはじめ、低血糖症状を起こした場合の対応方法、低血糖を予防するためのポイントなどをご紹介していきます。
基本的に血糖値は「70mg/dL~120mg/dL程度」になっています。しかし、何らかの理由によって「血糖値が70mg/dL以下」になることもあり、血糖値が低くなっている状態のことを「低血糖」と言います。低血糖は誰にでも起こり可能性がありますが、とくに糖尿病の薬物治療を受けている方はなりやすいので注意してください。
健康な人でも低血糖になる可能性はあります。しかし、通常であれば血糖値が低くなりすぎないように、インスリンの分泌量が減らしたり、血糖値を上昇させるホルモン(成長ホルモンや甲状腺ホルモンなど)を増やしたりして血糖値をコントロールしています。そのため、仮に健康な人が空腹になっても、低血糖による症状は起こりにくいです。
糖尿病患者さんは、低血糖を起こしやすいです。とくに薬物治療を受けている場合は、低血糖に注意した方がいいでしょう。なぜなら、治療薬には「血糖値を下げる働き」があり、副作用として低血糖を起こす可能性があるからです。
糖尿病の人は、自身が服用している薬について正しく理解し、低血糖に注意しながら糖尿病治療を続けていく必要があります。
低血糖になるとエネルギー不足を起こしてしまい、さまざまな身体症状があらわれます。その症状のことを「低血糖症状」と言い、低血糖の程度に応じた症状が見られます。
このように血糖値が「70mg/dL以下」になると身体から危険信号が現れ、「50mg/dL以下」になると危険な状態になってしまうのです。ただし、症状の現れ方には個人差があり、中には「無自覚性低血糖」という自覚症状が出にくい状態もあるので注意してください。
無自覚性低血糖とは低血糖であるにも関わらず、自覚症状が現れない状態のことです。いつの間にか低血糖状態になっていて、突然、重度の中枢神経症状を発症する恐れがあります。普段から低血糖を繰り返している方、自律神経に障害のある方などは、この「無自覚性低血糖」に注意してください。
低血糖になった場合は、落ち着いて適切な対応を取ることが大切です。その対応方法は「意識の有無」によって変わるので、それぞれについて確認しましょう。
まずは意識がハッキリしていて、自分で対応できる場合についてです。この場合は「ブドウ糖10g」「砂糖20g」「ブドウ糖を含む飲料水150ml~200m」のいずれかをとります。その後、症状が改善したら食事をとり、症状が続く場合は再度、ブドウ糖、砂糖、飲料水をとります。なお、それでも改善しない場合はすぐに医療機関を受診してください。
次に意識が朦朧としていて、自分で対応できない場合についてです。この場合は周りの人が、ブドウ糖や砂糖を飲ませる必要があります。ただし、無理に飲ませると誤嚥や窒息などの原因になるので、ブドウ糖や砂糖を水に溶かして、それを口唇と歯茎の間に塗ってあげるようにします。なお、これはあくまでも応急処置なので、すぐに救急車を呼びましょう。
低血糖を予防するには、自分の身体状況などをしっかりと理解して、それに合わせた血糖値のコントロールが必要になります。たとえば、以下のようなものがあります。
このように低血糖の原因を見つけて、その状況を回避できるように努めることが大切です。なお、予防法については主治医に相談した上で行うようにしましょう。
糖尿病患者さんは、万が一の場合に備えて「糖尿病患者用IDカード」を所持しておくのもいいでしょう。このIDカードは日本糖尿病協会が発行しているカードで、「自分が糖尿病だ」と分かるものになっています。携帯自体は義務付けられているものではありませんが、緊急時に適切な対応を受けるためにも普段から財布などに入れておくといいでしょう。
低血糖を起こさないためには、しっかりと「低血糖を起こしやすい状況」を理解し、自分に合った予防に努めることが必要です。また、低血糖を起こした場合に備えて、対応方法についても覚えておきしょう。なお、ご家族の方も正しい対応方法を身に付けておくようにしてください。
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