記事監修医師
前田 裕斗 先生
2018/10/10
記事監修医師
前田 裕斗 先生
女性を悩ませる生理不順やPMSですが、これらはよくホルモンバランスの乱れが原因といわれます。では、このホルモンバランスの乱れを整え、生理不順やPMSを改善するにはどうすればいいのでしょうか?
月経(生理)は、個人差はあるものの約25~38日周期で訪れます。このサイクルを調整しているのは、エストロゲン(卵胞ホルモン)やプロゲステロン(黄体ホルモン)といった女性ホルモンです。
生理周期の始めに脳の視床下部がエストロゲンを分泌するように指示を出します。そして、卵巣からエストロゲンの分泌が増加し、排卵が起こったり受精卵が着床するための子宮の準備が起こります。しかし、妊娠が成立しないと、今度はプロゲステロンが増加し生理が起こります。これらの女性ホルモンが、バランスよく分泌されることで、月経が定期的に起こっているのです。しかし、何らかの理由でホルモンバランスが崩れれば、生理周期が乱れたり、生理前に不調が起こるPMS(月経前症候群)が生じたりするようになります。
女性ホルモンを分泌するように指示をしているのは、脳の視床下部という部分です。視床下部は、自律神経をコントロールする司令塔でもあります。自律神経は、体や心が受けるさまざまなストレスの影響を受けて乱れることがあります。ホルモンバランスの乱れは自律神経に影響を与えることがあり、逆に、自律神経が乱れることでホルモンバランスが崩れることもあります。
女性ホルモンは、いつまでも分泌されるわけではありません。加齢によって卵巣機能が衰えることで、徐々に減少していきます。特にエストロゲンは、体が成熟して妊娠しやすい20代をピークとして、徐々に減り始め、閉経の数年前くらいから急激に減少するといわれています。
女性ホルモンのバランスが崩れることで、生理の周期が乱れるほか、経血量が増えたり、極端に少なくなったりすることもあります。
ホルモン補充療法(HRT)は、エストロゲンを補充する治療法で、エストロゲンの分泌が極端に少ないときなどに用いられます。ただし、生理不順の治療は、エストロゲンが増えるだけではなく、プロゲステロンとのバランスが大切です。やみくもにどちらかのホルモンを補充すればいいというものではありません。
生理不順は更年期のように加齢に伴うもののほかに、過度のダイエットや激しい運動、ストレスなどによって自律神経が乱れたり、脳と卵巣との連携がうまくいかなくなったりすることで起こります。また、太り過ぎもホルモンバランスを乱す要因となります。そのため、生理不順の改善には、栄養バランスのとれた食事、適度な運動、十分な睡眠といった生活習慣の改善や、ストレスをためないような工夫をしてみると良いでしょう。
また、PMSは、排卵から生理開始までの期間に起こる不調のことです。症状は、体のだるさや気分の落ち込みなどが挙げられますが、症状のあらわれ方は人それぞれです。
PMSは、ストレスやプレッシャーの影響を受けやすいといわれています。現代の女性は、仕事や子育て、介護、夫婦関係、進路や友人関係など、さまざまなストレスを抱えていますが、PMSとうまく付き合うためには、ストレスへの対処法が大切になるでしょう。次のようなポイントに気をつけて、自分なりのストレス解消法を見つけておくことが大切です。
ただし、生理不順やPMSと考えていたものの背景に、重大な疾患が隠れていることもあります。婦人科を受診をして治療が必要な病気がないかどうかを確認することも大切です。
婦人科では症状の強さに応じて症状に合わせた各種薬剤、漢方薬やピルの処方を受けることができます。
生理は、女性ホルモンがバランスよく分泌されることで一定のサイクルで起こります。しかし、加齢のほか、過度のストレスや太り過ぎなど、何らかの要因でホルモンバランスが崩れることで生理不順になることがあります。また、月経前の時期は、気分の落ち込みや疲れ、だるさといった不調が起こるPMSが起こりやすくなります。薬剤での治療が必要に成る場合もありますが、自分で生活習慣を改善することでコントロールできる場合もあります。自分なりの対処法・ストレス発散方法を見つけ、うまく付き合っていきましょう。
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