記事監修医師
前田 裕斗 先生
2018/10/9
記事監修医師
前田 裕斗 先生
更年期症状のうち代表的なものとしては、ほてりやイライラなどが知られますが、「生理不順」も症状の一つというのは本当でしょうか?更年期に伴う生理不順への向き合い方など、全般的な情報をお届けしていきます。
女性の生理(月経ともいう)は10代で始まり、50代に入る頃に終わります。生理は女性ホルモンによって、一定の周期で起こるようコントロールされています。この女性ホルモンは、ゆっくりと減少していきますが、特に閉経が近づくと急激に減少し始め、いわゆる更年期の症状がみられます。個人差はあるものの、更年期は閉経の前後数年間ずつで起こり、40台後半くらいから始まると考えられます。
更年期のサインのひとつに「生理不順」があります。それまでは定期的にきていた生理が、早く来たり遅く来たりします。
女性ホルモンには、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)があります。毎月ある時期になると、エストロゲンの量が増えることで脳の視床下部という司令塔から、次の排卵を起こすように指示が出され、排卵が起こります。(LHサージ)卵子のもとになる卵胞が成熟し排卵される時期にはエストロゲンが多く分泌されており、排卵後はプロゲステロンが増加し、生理が近くなると両者ともに低下します。
卵巣ホルモンは加齢とともに徐々に減少していくことが知られていますが、特に更年期の時期になると、急激に減少をし、閉経時にはほぼゼロになります。エストロゲンやプロゲステロンは、正常な生理周期のために大切な役割を果たしていますから、両者のバランスが崩れることで生理周期は乱れてしまうのです。
エストロゲンは排卵の準備を整えるとともに、受精卵が着床しやすいよう子宮内膜を厚くします。その一方で、気持ちを安定させたり、お肌の調子を良くしたり、骨にカルシウムを蓄えたりと、女性にとって嬉しい働きをしています。そのため、更年期に入って分泌が減少すると、さまざまな不調があらわれることがあります。代表的な症状には次のようなものがあります。
症状の程度は個人差がありますが、生活に支障がでるような場合を更年期障害といいます。
更年期に起こる生理不順は、卵巣機能が低下してエストロゲンの分泌が少なくなっていくことによるもののほか、精神的・身体的なストレス、子宮筋腫や子宮内膜症などの婦人科系疾患などが関係していることもあります。症状の程度には個人差はありますが、食生活を整えたり、適度な運動をしたり、ストレスをためすぎず上手に発散したりしていくことも、生理不順の症状をやわらげることにつながるでしょう。
また、婦人科で検査を受け、治療の必要があるものは治療することも大切です。必要であればホルモン補充療法や、漢方薬のほか、不安やイライラ、気分の落ち込みなどに対して抗不安薬の処方などがあります。その他、足首を冷やさないようにしたり、お灸や指でツボを刺激したりといったことも試してみても良いでしょう。内くるぶしにある三陰交というツボは婦人科系の症状に効果があるといわれているツボです。
更年期は、年齢を重ねていく以上は、受け入れていかねばならない時期でもあります。うまく付き合っていくことが大切です。
生理不順は更年期のサインのひとつですが、これは更年期の時期に急激に卵巣から分泌される女性ホルモンが減少し、ホルモンバランスが崩れて生理の周期コントロールが難しくなることが関連しています。その他にも、不安やイライラ、気分の落ち込みといった精神的な症状や、骨密度が低下するといった身体的な症状も見られます。規則正しい生活を送りストレスをためないような生活は、更年期の症状を和らげます。また、症状には個人差がありますから、独りで抱え込みすぎずに医療機関に相談することも大切です。
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