記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/10/12
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
胃潰瘍ができると、みぞおちの中央あたりに痛みや胸やけを感じたり、吐血したりすることもあります。
吐血と聞くと驚く人も多いと思いますが、こちらでは胃潰瘍による吐血について詳しく説明していきますので、参考にしてください。
口から血が出る現象は喀血(かっけつ)と吐血の2つに分類され、出血の起こっている場所によって呼び方が異なります。
胃潰瘍や十二指腸潰瘍では、強い胃酸や胃の消化酵素によってそれぞれの粘膜が傷つけられ、部分的に欠損します。
胃潰瘍では食後、みぞおち周辺に重苦しい痛みが起こり、十二指腸潰瘍では早朝や空腹時にみぞおち周辺がシクシクと痛み、食事を摂ると治まるのが特徴です。
胃や十二指腸の血管が破れて出血が起こると、貧血によるめまいの症状があらわれた後に吐血したり、黒いタール状の血液が便と一緒に排泄されたりします。
胃がんは初期だと自覚症状がまったくなく、みぞおちの痛みや食欲不振、吐き気などの自覚症状が出てきたころには進行している場合が多いです。
粘膜が破壊されると黒みを帯びた褐色の血液を吐いたり、黒いタール状の血液が便として排泄されたりします。
急性胃粘膜病変は、アルコールの飲み過ぎや過度のストレス、消炎鎮痛薬の多量の服用が原因となって、胃に複数の出血性の胃炎を起こしている状態です。
粘膜のあちこちがただれ、そこからの出血により吐血します。
一般的に胃潰瘍による吐血は、黒味を帯びた褐色の血液であることが多いのですが、突然鮮やかな紅色の血の塊が吐血したときや、黒っぽい血を吐いたときには胃潰瘍ではない可能性があります。
これは食道静脈瘤の可能性が考えられます。
食道にある静脈が太くこぶのようになり、進行すると破裂して出血を引き起こします。
食道静脈瘤があるだけでは自覚症状はありませんが、食道静脈瘤は肝硬変における合併症のひとつとしてあげられます。
出血は大量になることもあり、最悪の場合、死にいたるケースもあります。
老人では逆流性食道炎、食道裂孔ヘルニアの疑いもあるので、すぐに内視鏡設備のある医療機関を受診する必要があります。
吐血した血液が黒っぽく変色していれば、胃にたまっていた血液だと考えられます。
胃がん、十二指腸潰瘍、胃の手術後の吻合潰瘍、急性胃炎、胃肉腫などが疑われます。
出血の色に関わらず、吐血は体のどこからか出血している状態をあらわしています。
緊急性のある事態も含まれていますので、早急に医療機関を受診しましょう。
血を吐いた人の多くはひどく驚き、冷静ではいられなくなるでしょう。
興奮してしまうと出血が増える場合もありますので、周囲の人が落ち着かせてあげてください。
吐血があったら、まず血の量に関わらず安静にして、水分を含めて一切何も口に入れないようにしましょう。
大量に吐血したときは、緊急処置の必要があるケースが多いので、すぐに救急車を呼んでください。
脈拍が速く弱くなり、さらに血圧の低下が見られるときは、頭を低くして横になり、吐いたものが気管に入らないように、顔を横にして寝かせましょう。
吐血が止まらないときには、お腹の部分に氷のうをのせ、幅広い帯でしっかり固定してください。
吐血が少量の場合、慌てることはりませんが、できるだけ早く医療機関を受診しましょう。
吐血の原因や考えられる疾患をお話ししましたが、吐血はとにかく慌ててしまう人が多いです。
吐血があっても焦らずに落ち着いて、周囲に人がいたら助けてもらい、自分一人の場合では吐血の量によって救急車を呼びましょう。
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