記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/10/18
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
沈黙の臓器とも呼ばれる「肝臓」は、体のどのあたりに位置しているのでしょうか?今回は知っているようで知らない「肝臓」という臓器について、構造や担っている役割などをわかりやすく解説していきます。
肝臓は、体の中で最も大きい臓器です。成人男子で1200~1400g、成人女子で1000g~1200g、つまり1kg以上もある臓器となります。
臓器がある場所は、肺の下、胃におおいかぶさるような位置です。とても大きい臓器なので、体感としては、おおよそ右上の腹部のほとんどを肝臓が占めているといってもいいでしょう。ほとんどの部分が肋骨の下に隠れていますが、肝臓の上面は横隔膜に、下面は胆のうに接しています。
肝臓は、ほかの臓器よりも血液が多く集まっている臓器です。通常の臓器には、動脈と静脈の2本の血管が通っていますが、肝臓には3本の血管が通っています。集まる血液の量は、体内の1/4の量にもなるのです。
肝臓に流れている3本の血管とは、肝動脈、肝静脈、そして門脈です。門脈は普段あまり耳にしない名前かもしれませんが、静脈の一種でとても太い血管です。腸や脾臓を循環し、栄養分を豊富に取り込んだ静脈血を肝臓へ運んでいます。しかし、門脈が運ぶ血液では酸素はほとんど消費し尽くされているため、酸素がたくさん含まれている大動脈からの血液を肝動脈が直接肝臓に送り込んでいるのです。
肝臓に流れてくる血液の量は、門脈血70%、動脈血30%の割合ですが、これら2種類の血液は肝臓内で合流します。そして類洞(るいどう)という毛細血管を通り、細胞から栄養素を運んだり、ガス交換を行ったりして心臓へ戻るのです。肝臓の細胞が機能しているのは類洞の部分のみで、その距離は0.5~1.0mmほどしかありません。
肝臓を流れる重要な液体は、血液のほかにもうひとつ、胆汁があります。胆汁は肝臓で作られる液体で、脂肪の消化吸収などの作用を担います。そのため、肝臓には胆汁が通る胆管(たんかん)という管もあり、作られた胆汁を肝臓の下面についている胆のうへと運びます。一時的に、肝臓内で胆汁を貯蓄することもできますが、食べ物が入ってくると反射的に十二指腸へと放出されていきます。
肝臓は、とても大切な働きを複数持っている臓器です。まず大切なのは、食事から摂った栄養を体内で使うエネルギーへと変える代謝機能とエネルギーの貯蓄機能でしょう。体内に入った食物は、胃や腸で吸収されやすい形に分解された後、肝臓へ送られています。たとえば、お米などから摂れる糖質の場合、肝臓でグリコーゲンへと変えられ、さらに貯蓄もされているのです。
ほかに、アルコールやアンモニア、薬など、体にとって有害な物質をろ過して、無害化する解毒・分解機能もあります。お酒を飲むときに肝臓のケアをするのは、この機能によるものです。さらに、脂肪の消化吸収を助ける胆汁を生成するのも大切な働きだといえます。
肝臓は栄養素の生産、貯蔵、そして老廃物の一部を再利用するリサイクルの機能ももっている、極めて重要な臓器なのです。
肝臓は、1kg以上もある体内最大の臓器で、おおよそ右上の腹部を占めています。肝動脈、肝静脈、そして門脈という3種類の血管が通っており、体内の1/4の血液が集まる場所でもあるのです。栄養素の生産、貯蔵、そして老廃物の一部を再利用するリサイクルの機能をもっている、極めて重要な臓器だといえるでしょう。
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