肝臓が悪くなると胃のように痛みが出てくる?特に注意すべき症状は?

2018/10/14

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

皆さんは、何かちょっとしたことで吐き気がしたり、胃がシクシクと痛みだす、あるいは食欲がなくなるといった経験をお持ちではないでしょうか。胃は、異常があるとすぐに不調として症状が現れるため、「おしゃべりな臓器」と呼ばれるほどです。
では、肝臓に異常がある場合、いったいどのような症状がみられるかご存知でしょうか? 
ここでは、肝臓について注意したい症状やその改善法について、ご紹介していきます。

肝臓が悪くなると右側に痛みが出る?

肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれており、異常があるとすぐに不調として症状が現れる「おしゃべりな臓器」である胃とは、真逆の性格を持っています。つまり、肝臓に異常が現れても、最初のうちは痛みなどの症状を感じることはほとんどありません。これは、肝臓が再生能力に優れていること、そして痛みなどを感じる神経がないことなどが理由として挙げられます。したがって、何らかの症状が現れたときには、かなり症状が進行しているケースが多く、治療にも長い時間を要することになります。

肋骨の下、みぞおちより少し右側に肝臓は位置しています。正常な肝臓はつるっとしたピンク色をしていますが、食べ過ぎや飲み過ぎによって、どんどん黄色く腫れあがっていきます。この状態を、脂肪肝といいます。実は、いかにしてこの脂肪肝の状態で食い止めるかということが、重要なポイントです。なぜなら、脂肪肝の状態から症状が進行していくと、肝臓が炎症を起こして慢性肝炎、肝硬変と変化し、さらには肝臓がんにつながる危険性を伴うからです。

そのため、仮に自覚症状がなくても、健康診断や人間ドックで定期的に血液検査を受けることが必要です。数値の状態によっては食生活や生活習慣を見直すことが必要になるでしょう。

特に気をつけたほうがいい肝臓の症状は?

先ほど、「いかにして脂肪肝の状態で食い止めるかということが、重要なポイントである」と述べましたが、今や日本人の4人に1人が脂肪肝の状態にあるといわれています。ただし、「よくあること」と軽く捉えてはいけません。くり返しますが、脂肪肝は肝硬変や肝臓がんへと進行する可能性を秘めており、のみならず、さまざまな生活習慣病のリスクを高めることがわかっているからです。

脂肪肝は、中性脂肪が肝臓に蓄積されて起こる病気です。食事で糖質や脂質を摂り過ぎ、かつ運動不足などが重なると、肝臓に中性脂肪が溜まります。また、食事や運動不足だけでなく、お酒の飲み過ぎも肝脂肪の大きな原因の一つとなります。これは、アルコールが体内で分解されるときに、中性脂肪が作られてしまうためです。このほかにも、極端な食事制限などのダイエットによって低栄養性脂肪肝と呼ばれる脂肪肝になることがあるので、こちらも注意が必要です。

脂肪肝の原因は、大きくアルコール性のものと非アルコール性のものに区別されますが、非アルコール性の脂肪肝の原因として、肥満、糖尿病、高脂血症、あるいは薬剤などが挙げられます。肝臓も内臓脂肪を蓄える臓器ですから、肥満と脂肪肝は切っても切れない関係にあるといえるでしょう。つまり、生活習慣病の代表格であるメタボリックシンドロームの予防が、脂肪肝の予防となるわけです。メタボリックシンドロームになりやすい生活習慣としては、暴飲暴食、過剰な糖分摂取、濃い味つけ、緑黄色野菜の不足、運動不足などがありますので、これらに対処するためには適正体重を維持したり、バランスの良い食事を心がけたり、毎日適度な運動を続けることが大切です。

脂肪肝を放っておくとどうなる?

肝臓に悪いものとして真っ先に頭に浮かぶのは、アルコールかもしれません。しかし、日本人の脂肪肝の原因として多いのは、先ほどご紹介した非アルコール性のもの、つまり、飲み過ぎではなく食べ過ぎによるものなのです。これを、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)と呼びます。非アルコール性脂肪性肝疾患には、比較的症状が改善しやすい単純性脂肪肝と重症のケースが多い非アルコール性脂肪肝炎の2種類がありますが、どちらも放置すると肝硬変や肝臓がんへと進行するリスクを持っています。

これまで脂肪肝といえば、ほとんどのケースが深刻な病気へ進行することはないと軽く考えられていましたが、現在では単なる脂肪の蓄積だけでなく、このような深刻な事態に発展することがわかっています。したがって、「自分はほとんどアルコールを飲まないから大丈夫」「体調に異常はないから問題ないはず」といった考えは通用しません。

脂肪肝の傾向にある人は、その状態を放置せず、積極的な生活習慣の改善、そして医療的なアプローチが必要になるということを、しっかりと頭に入れておきましょう。

脂肪肝から肝臓を守るにはどうすればいい?

それでは、脂肪肝を改善するために、私たちは日常生活でどのようなことに気をつければよいのでしょうか。アルコール性の場合であれば、とにかく節酒や禁酒をすることが何よりの改善法となるでしょう。また、非アルコール性の場合は食事療法、運動療法を基本軸として、場合によっては薬物療法が必要となるケースもあります。

以下、普段の生活に取り入れることができるセルフケアについてご紹介します。体重を2kg減らしただけでも、肝臓の中性脂肪が減って肝機能が回復するというデータもありますので、これらのコツコツとした努力が何よりも大切だといえるでしょう。

ごはんや甘い物などの糖質を摂りすぎない
肝脂肪の改善にもっとも気をつけたいのが、脂質よりも糖質です。果物やごはん、パン、麺類などを摂りすぎないようにしてください。
緑茶を飲むようにする
緑茶に含まれるカテキンは、肝臓で発生する活性酵素を消してくれることがわかっています。メタボリックシンドロームにも効果的だという研究結果も出ています。
食べ順に気をつける
食事によって血糖値が上がるとインスリンが大量に分泌され、これが中性脂肪に変化します。したがって、脂肪肝の改善には血糖値を急激に上げない食べ順(野菜→たんぱく質→炭水化物)も大きなポイントの一つです。
軽い筋トレで基礎代謝を上げる
脂肪は筋肉で燃えるので、適度な筋肉をつけることも大切です。軽い筋トレでインナーマッスルを鍛えれば基礎代謝が増えて、太りにくい体を作ることができます。特に、スクワットや片足立ちがおすすめです。

おわりに:肝臓で気をつけたいのは脂肪肝。今すぐに生活習慣の見直しを!

肝臓に異常が現れても、痛みなどの症状を感じることがほとんどないこと、そして、脂肪肝の状態を放置すると深刻な状態を招くということが、おわかりいただけたかと思います。脂肪肝は、日頃のちょっとした心がけで改善することができるので、今すぐセルフケアを始めて、しっかり肝臓を守るようにしてください。

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