腎臓が悪くなったらカリウム制限が必要な理由は?食事での注意点は?

2018/10/22

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

腎臓病や食習慣で腎臓の機能が低下すると、カリウムの摂取を控えるよう指示されることがあります。カリウムは腎臓にどのような影響を与えるのでしょうか?
今回は、カリウムという栄養素と腎臓が悪くなったときにカリウム制限がかかる理由について、解説していきます。

カリウムってどんな栄養素?

カリウムは主に人体の細胞に存在し、成人なら200g程度は常に保有している成分です。
体内では、主に以下の役割を担っています。

  • 細胞内の水分量、浸透圧、酵素反応などのコントロール
  • 身体を酸性とアルカリ性のバランスがとれた状態に保つ
  • 心臓機能、またその他筋肉機能の調整
  • 腎臓でのナトリウム(塩分)再吸収の抑制と排泄の促進による、血圧降下

体外から摂取されたカリウムは、小腸で吸収して各器官で必要な分だけ使用し、余分は腎臓に運ばれて処理されます。腎臓では、血中のカリウム濃度が3.6~5.2mEq/Lに維持できるよう調整が行われています。

なお激しい下痢や嘔吐、薬の副作用などでカリウムが過剰に体外に排出されて不足すると、脱力感や筋力低下、食欲不振、骨格筋の麻痺などの症状が現れます。

腎臓が悪い人がカリウム制限が必要な理由は?

腎臓が悪い人がカリウム摂取を控えるよう指示される理由は、腎臓の機能が低下すると適切にカリウムが排出できなくなり、体内に蓄積されるようになるためです。
血中のカリウム濃度が高くなりすぎ、血中のカリウム濃度が5.5mEq/Lを超えてくると「高カリウム血症」を発症し、以下のような症状が現れてきます。

  • 吐き気や嘔吐など、消化器官の不調
  • しびれや知覚過敏
  • 脱力感など、筋肉や神経伝達の異常
  • 不整脈

特に不整脈には注意が必要で、血中のカリウム濃度が7~8mEq/Lを超える重度の高カリウム状態となると、突然心臓が止まって死亡するケースもあります。
腎臓が悪い人がカリウム制限を求められるのは、腎臓のかわりに血中のカリウム濃度をコントロールし、高カリウム血症を防ぐためなのです。

カリウムを多く含む食べ物ってどんなものがある?

ここからは、腎臓に異常が見つかり医師からカリウム制限を指示されたなら知っておきたい、高カリウム食品をまとめてご紹介します。

カリウムを多く含む食品

野菜類
かぼちゃ、トマト、さといも、じゃがいも、ほうれんそう、小松菜、たまねぎ、納豆
果物類
バナナ、メロン、キウイフルーツ
肉・魚類
鮭、脂身付きの豚もも肉、サバ、皮つきの鶏もも肉

腎臓の機能低下を指摘されているなら、上記の食品は避けるようにしてください。

また、高カリウムの食品を避ける以外に日々の食事からのカリウム摂取量を減らすためにできる工夫としては、以下があります。

  • 水にさらす、または茹でこぼすことで、水溶性のカリウムは20%程度除去される
  • カリウムの多い食品を、カリウムの少ない食品に置き換えて調理する
  • 果物を食べたいなら、カリウム含有量が少なくなる缶詰を選ぶようにする
  • 「低カリウム」と明示している食品を選ぶようにする

おわりに: 腎臓が悪くなると、血中のカリウム濃度を正常値に保てなくなる

人間の体内、特に細胞に一定量存在し、細胞の水分量や浸透圧、筋肉の動きや血圧の降下にかかわるカリウムは、人体の健康維持に欠かせない栄養素です。しかし、腎機能が低下して血中のカリウム濃度が異常に高い状態が続くと高カリウム血症となり、全身にさまざまな不調をきたして最悪の場合は死に至ります。医師から腎機能の低下とカリウム制限を指示されたら、すぐに実践しましょう。

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