横紋筋融解症を発症する原因ってどんなものがあるの?

2018/10/23

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

骨格筋の細胞が死んだり溶け出したりすることで、手足のしびれや筋肉痛などの症状が起こる「横紋筋融解症」。この横紋筋融解症は、何が原因で発症する病気なのでしょうか?

横紋筋融解症ってどんな病気?

横紋筋融解症は、何らかの原因で骨格筋の細胞が死んだり溶け出したりする病気です。その結果、血液中にミオグロビンという成分が流れ出すことで、全身症状が悪化していきます。

筋肉には、平滑筋と横紋筋という2種類があります。平滑筋は内臓を動かしている筋肉で、意思とは関係なく動いています。横紋筋はさらに心筋という心臓を動かす筋肉と、全身の運動を行う骨格筋に分けられます。心筋は平滑筋と同様に意思とは関係なく動いています。

そのため、平滑筋や心筋は、寝ている間も食べ物の消化ができたり、心臓が安定して脈打ったりできるのです。一方、骨格筋は意思で動かせる筋肉です。スポーツだけではなく、日常生活を送る上でも人間が体を動かすときに関わる筋肉です。

横紋筋融解症によって人間の運動を支えている骨格筋に異常が起こると、手足のしびれや痛み、脱力など筋肉の症状が初期症状としてあらわれます。また、筋肉の成分であるミオグロビンが血液中に溶け出すことで、急性の腎不全を起こしたり多臓器不全を引き起こし、最悪の場合には命を落とすことがあります。

横紋筋融解症を発症する原因ってどんなものがあるの?

横紋筋融解症の原因としては、複数のものが考えられています。例えばそのひとつに、事故や長時間同じ姿勢でいるなどして長時間筋肉が圧迫された後で起こる「クラッシュ(挫滅)症候群」があります。また、高脂血症治療薬やニューキノロン系抗生物質といった薬剤の副作用があります。他にも、熱中症や過剰な運動、過度のアルコール摂取が引き金になることもあり、身近なところでも起こりうる病気です。

また、同じ状況に置かれたとしても、必ずしも横紋筋融解症を発症するとは限りません。それぞれが持っている体質や過去の病気、年齢といった個人の因子が発症のリスクを高めることがあります。たとえば、すでに糖尿病や腎臓病、甲状腺機能低下症などの病気がある人や、80歳以上の年齢はリスク因子になります。

横紋筋融解症を発症しているのでは…と思ったら

横紋筋融解症の自覚症状は、筋肉に関わるものが中心です。手足のしびれやこわばり、痛み、脱力感やだるさが挙げられます。また、ミオグロビンが血液に溶け出して、尿に入り込むことで赤褐色の尿がでることがあります。

疲れと勘違いしやすい症状もありますが、普段感じたことがない自覚症状がある場合は、早期に医療機関を受診しましょう。横紋筋融解症は早期の診断を行い、必要な治療を開始することで重症化を防ぐことにつながります。

おわりに:横紋筋融解症は熱中症などの身近な病気が原因でなることも。違和感があればすぐ病院へ

横紋筋融解症は、全身を動かす筋肉の細胞が壊死したり、壊れてしまうことで起こります。筋肉の成分は血液中に溶け出して、急性腎不全や多臓器不全を引き起こし、重症化したり命に関わったりすることもあります。大きな事故や薬剤の副作用によるもののほか、熱中症のように誰しもがなる症状が引き金になることもあります。普段と異なる筋肉の違和感を感じたら、医療機関を受診してみましょう。

※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。

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